CD、買ってますか?市場の現状分析1

前回のイントロダクションで予告しました通り、今回は、企画立案のステップ1「対象市場の現状分析」について書いていきたいと思います。

今回は、私の趣味である音楽および音楽市場を取り上げるということで、日本の音楽業界をとりまとめる一般社団法人日本レコード協会のホームページから情報を入手することにしました。

また、コンサート・ライブ市場の動向については、一般社団法人コンサートプロモーターズ協会が公開しているデータを利用しています。

いずれも記事作成にあたっては、事前に問い合せを行い、出典を明記することで公開データの利用の許可をいただいております。

●音楽市場の状況分析
みなさん、最近、CDを買っていますか?
それとも、iTunes Storeでダウンロードしているのでしょうか?
     CDショップ店内
音楽業界は年々、規模が縮小していると言われ続けています。
音楽ソフト(注1)の売り上げは、2012年にようやく前年比で上向きになったものの、それまで14年間も下降を続けていました(図1、図2参照)。

実際、私の友人関係は音楽が趣味という人間が多いので、月に何枚もCDを購入する人ばかり。
一方で、例えば職場などで周囲に話を聞くと、もう何年もCDは買っていない、とか、CDを再生するオーディオが家にない(音楽はPCで聴く、とか)という人は少なくありません。
音楽ソフト数量推移

図1:音楽ソフト数量遷移 (注2)

音楽ソフト売り上げ推移

図2:音楽ソフト売り上げ遷移 (注2)

音楽配信・ダウンロードについては、2012年も前年比で大きく下降していることがわかります。

傾向としては、モバイル(着うたなど)の比率が下がっているのに対し、インターネットダウンロード(iTunesやAmazon MP3、moraなど)の比率が上がっています。(図3、図4参照)。

有料音楽配信数量推移

図3:有料音楽配信数量推移 (注2)

有料音楽配信金額推移

図4:有料音楽配信金額推移 (注2)

以上、簡単にデータで音楽業界の現状をおさらいしてみました。
2012年に上向いたものが、2013年以降も継続していくのか、それとも一過性のものなのかは、執筆時点(2014年3月上旬)では2013年の統計データを入手できていないため推測の域を出ませんが、おそらく伸びたとしても微増で、大規模な市場の回復とまではいかないでしょう。

●2012年はなぜCDが売れたのか?
現状分析は一息入れて、ここでなぜ2012年に音楽ソフトの売り上げが増加したのかを考えてみます。

最近では、同じタイトルの作品を複数フォーマット(初回盤A、初回盤B、通常盤など)で販売し、収録曲を多少変えたり、特典(生写真など)にランダム性を持たせたりすることで、ファンのコレクター意欲をかき立てる手法を用いて、“熱心なファンに同じタイトルのCDを複数枚買わせる”という販売戦略が多く見受けられます。

もしかすると、2012年はこの販売方法が大いに当たった年だったのかもしれません。

複数フォーマットでの販売というのは、ファンにしてみれば本来1枚でよいところを複数枚買わされてしまいます。
しかし、CDを買うほど好きなアーティストの楽曲は、余さず聞きたいという痛しかゆしな商法なわけですが、需要と供給のバランスが取れている限り上手い販売戦略ですし、実際問題としてこういった販売戦略を取らないとCDの売り上げが伸びないというのが音楽業界の現状なのでしょう。

…ちょっと長くなってしまいましたので、今回はここまでにしておきます。
次回も引き続き「対象市場の分析」について書いていきますので、ぜひご覧ください。

 

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注1:音楽ソフトとはオーディオレコード(CD、レコード、カセットテープなど)と
     音楽ビデオ(ビデオテープ、DVD、Blu-rayなど)の総称のこと
注2:出典「一般社団法人日本レコード協会」-日本のレコード産業2013年度版

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