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ソルクシーズで働く人々

KOJIRO担当日記2【6】時には 「あきらめる」ことも 大事…?

ソルクシーズで働く人々

商品企画部に、未経験の新人が入って来た。

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一緒にe-learning【KOJIRO】を企画してくれる後輩だ。イチから教えていくのは想像以上に大変だったが、彼女もがんばって業務を覚えてくれた。

そこで私は、「着せ替えアバター機能」のアイテム追加業務を、後輩に渡すことにした。生徒さん達にやる気をアップしてもらえるよう、e-learning【KOJIRO】にふさわしいアバターアイテムを制作していく業務だ。

アイテムデザイン、価格決定、制作会社への指示書、全体管理の仕方など、業務範囲は広いが、自分のアイデアがわかりやすく形になる、楽しい業務でもある。

 

業務に慣れるにつれ、後輩はやりがいを感じているようだった。私が細かい指示を出さなくても、アイテムのアイデアをどんどん出すようになった。

ある日、後輩のPC画面を覗くと、やわらかそうな素材で頭のラインに沿わせて着用するタイプの帽子があった。

「今度はこういう帽子を制作しようと考えているんです!」

Woman's beret

 

後輩の作ろうとしている帽子のモデルを見て、私は「あっ」と思った。色んなパーツを自由に選べるアバターアイテムは、アイテム同士のバランスを考えてデザインしなければならない。

<頭の形とのバランスが難しいから、こういう帽子は最初から避けた方がいいんだろうけどな…>

私だったら避けるアイテムに、後輩はチャレンジしようとしていた。一瞬、引きとめようかとも思ったが、がんばっているところに水を差すようで、何となくためらわれた。

<私じゃなくて彼女だからこそ、アッサリできることだってあるかもしれない>

私はまず、彼女にやってみてもらうことにした。


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しかし、事件は起こった。

いつもは笑顔の後輩が、ゆううつそうな顔をして相談にきたのだ。もしかしてと思いながら聞くと、やっぱりあの帽子アイテムが問題になっていた。もう何度も、制作会社とやり取りを重ねているという。

「頭とのバランスをとろうとすると、この帽子の形がおかしくなって、本来のデザインではなくなってしまうんです…」

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<あぁ…やっぱり口を出すべきだったか…>

私は心の中で申し訳なく思いながら、口を開いた。

「…まぁ、最後の手段として、どうしても難しい場合は、ボツにしてリリースしないという手もあるけど、何とか調整してみようよ」

そう言って私は、「自分だったら、こう調整してもらう」という具体的な解決案も、いくつか提案した。しかし、目の前の後輩の表情は暗いまま。すっかり“あきらめムード”だ。きっと既に色々試して、うまくいかなかったのだろう。

<この感じだと、良い案も生まれようがないなぁ…>

もしかしたら、さっき「ボツにしてリリースしない」なんて、余計なことを言ってしまったかもしれない。「ハイ…ハイ…」と頷く後輩の姿に不安を感じながらも、私はリリースに向けたアイテム制作続行を指示した。

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悪い予感は、的中した。

納期を過ぎても、帽子アイテムだけが完成しなかったのだ。うなだれる後輩に、私はひとまず、その他の新アイテムをリリースするよう告げ、その後の対応について本人の意向を聞いてみることにした。

「自由に決めていいよって言ったら、どうしたい?」

後輩は「うっ…」と詰まると、苦笑いしてため息をついた。

「この帽子アイテムは、もう…リリースしないことにしたいです…」

恐る恐る、でも疲れたように本音を言った彼女を見て、私はその心中を想像した。同じ状況だったら、私も同じ気持ちかもしれない。

「でも、ここまでの制作にも、既に●●円のコストがかかっているよね。それをあきらめて使わないのは、丸々損だよね?」
「そうですよね…ムダになっちゃいますよね…」

Woman standing on the skyscraper funds dollars

彼女だってわかっているのだ、あきらめたら「損」になるってことを。それでも私達は悩んでいた。それほどに帽子アイテムの修正は難しそうに思われた。

<リリースか、それとも…ここまでの制作費はムダになるけれど、このアイテムをリリースしないか…>

私も、自分が後輩に十分な情報を与えてあげられなかったのに、このまま修正を続行させるのは、「可哀相」な気がした。

<…ん? 可哀相? …誰が?

 

私は後輩を見て、それからパソコンの画面に目を移した。そこには、アバターのアイテム画像が並んでいる。その瞬間、頭の中に、入社当時に部長から言われた言葉がよみがえった。

 

<一番悲しいのは、せっかく作ったのに使われないこと>

 

…そうだった。可哀相なのは、後輩でも会社のコストでもない。後輩と制作会社が、生徒さん達のために作ってくれた、このアイテムだ。

<このままアイテムを、使われるものに仕上げてあげなくちゃいけないんだ!>

私は大きく息を吸って、後輩に向き直った。

「リリースしないという最後の手段はあるけれど、もう少しがんばろう。せっかく作ったのに使われないのは、コスト面でムダというだけじゃなく、制作会社の皆さんも悲しいだろうし、作られたデータも可哀相だよ。生徒さん達もアイテムを待ってる。みんながハッピーであるようにがんばろうよ!」

もしかしたら、私の声のトーンも違ったのかもしれない。後輩は急に表情を引き締め、背筋を伸ばした。

「わかりました。がんばってみます」

私は「この間の繰り返しになるけど…」と、具体的な解決のアイデアをいくつか伝えた。頷きながら話を聞く彼女は、さっきまでとはちがう、意を決したような目をしていた。

あとはもう、彼女に託すしかない。だけど、これでもう、大丈夫なような気がした。

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他のアイテムに遅れること1週間、新しい帽子アイテムがリリースされた。後輩は、何とか納得できるアイテムができて、ホッとしているようだ。

そんな折、学習塾の先生から、生徒さん達のアバター使用例の画像が届いた。

送られてきたデータを見ていると、なんと、あの帽子アイテムを身につけたアバターがあった。違和感もない。他アイテムとうまく合わせて、しっかり着こなしてくれている。

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「こないだの帽子アイテム、もう使ってくれてるみたいよ!」

後輩に声をかけてアバターを見せると、彼女の顔がぱっと明るくなった。

「よかった…!」

その晴れやかな笑顔を見て、私は、業務だけではない「商品企画の姿勢」みたいなものを、彼女に渡せた気がした。

rico達の商品企画は続く…

[KOJIRO 公式サイト]
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