「ねじまき片想い」書評No.002

惜しい! というべきか、もったいない! というべきか。。。

萌えキャラが挿絵の、いわゆる「ラノベ」ではないけれど、
気楽にパラパラとページがめくれる、手軽なエンタメ小説といった印象。

敏腕おもちゃプランナーとして、仕事の面では先輩からも一目置かれる存在ながら、
恋愛に関しては全くの奥手で、想う相手に気持ちを告げられず何年も片思いしている主人公。

片思い相手が巻き込まれるトラブルを陰からこっそり解決する、
というちょっとしたミステリー的要素もあるのだが、
複雑な伏線が張ってある訳でもなく、テンポよく読み進めることができる。

主人公と性別は違うけど、
・あと一歩踏み出す勇気がなく、ずっと片思い
・一人遊び(空想? 妄想!?)が苦にならない
など、中学高校時代の自分と重なるようで、昔を思い出しながら微笑ましく読み進めることができた。

ただ、面白いのはトラブルを解決する4章まで。
最終章は消化不良というか、残念感が拭えなかった。

まるで、「打ち切り決まったから、あと2話でなんとか帳尻合わせてください」
と言われた週刊漫画みたいな、やっつけ感。とたんにテンポも悪くなるし。。。

初出一覧をみると、最終章だけ単行本に向けた書下ろし。あぁ、やっぱりね。

「主人公自身が心の面で一歩踏み出す」というまとめは、
本の冒頭を読んだ時点で想定できるんだから、
その「踏み出し方」を4章までのテンポの良さで表現して欲しかった。

惜しい。

–30代男性

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