「女のいない男たち」書評No.004

数年ぶりに村上さんの作品を読みました。
前に読んだ作品はなかなか難しかったため、距離を置いていたからです。

今回は短編集かつ(タイトルから察するに)恋愛要素もあるので、
のめり込むかも!と思っていたのですが、どうやら甘かったようです。

ほとんどの作品が静かに進んでいきます。
登場する男性たちには恋人がいなかったり、いたとしても離れかけていたりします。
そのせいか、恋人同士の関係が淡々と描かれています。

登場人物の気持ちになって読む、というより、
他人の複雑怪奇な恋愛模様を遠くから見つめている気持ちでした。
熱を感じさせる恋愛作品から少し距離を置きたい、
という方にはおすすめかもしれません。

いずれの短編も思わせぶりな設定があるにも関わらず、
深いところまで掘っていかないようで、物足りなさも感じました。
また、残念ながら共感する場面は少なかったです。
ですが、そんな中でも「なるほど」と思った一文がありました。

「すべての女性には、
嘘をつくための特別な独立器官のようなものが生まれつき具わっている」

男性、女性にかかわらず嘘はつくのでしょうが、なんとなく納得してしまいました。
こと、恋愛に関してはそうなのかもしれません。
先日ラジオから聞こえた
「不倫をした場合、男性は必ず誰かにその事を話すが、女性は口にしない」
という話をふと思い出す一文でした。

ただし納得はしたものの、
私が独立器官を効果的に活用できるまでの道のりは、まだまだ長そうです。

-20代 女性

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