どうなる?個人投資家の投資機会
前回までは、口座開設についてコメントしてきましたが、今回は株式等の投資(売買)の機会(取引所機能)についてお話ししたいと思います。
■投資が身近に
「貯蓄から投資へ」と言われるようになって、
どれくらいになるでしょうか。
銀行の窓口で投資信託を販売できるようになったのが、1998年のことです。
この年には株式売買手数料が自由化されるなど、政府は規制緩和を進めてきました。
NISAの前段階にあった「証券優遇税制」の施行が2003年で、
現在では、投資信託の販売数量において証券会社を銀行が上回っていることを踏まえると、
「貯蓄から投資へ」の流れは現実になっています。
当時、証券会社でしか買うことのできなかった投資信託が銀行で買えるようになったことで、
今まで馴染みのなかった預金者にも金融商品を知る機会が増えていきました。
投資が身近になったことで利用者が増えたのは自然の流れです。
■投資機会増大効果には疑問を残す「夜間取引」
個人投資家増加の流れに拍車をかけるような動きも見えています。
最近の投資関係のニュースをいくつかご紹介しましょう。
・東証が夜間市場の開設を検討 ニーズ次第で2015年にも(2013.11.11 産経ニュース)
・東証「夜間取引」に渦巻く賛否…大手証券×ネット証券 焦点は取引量(2013.12.18 産経ニュース)
・東証、株の「夜間取引」検討 月内にも研究会 (2014.1.18 朝日新聞)
これらは、投資機会(ここでは株式投資)が増えるように
夜間も取引所をオープンさせてはどうかという議論です。
これに関して、東京証券取引所は以前から「取引時間の拡大に関するディスカッション・ペーパー」
を公表し、それに対する意見を取りまとめた資料も2010年11月に公表されています。
その資料では、夜間取引だけでなく、昼休みの撤廃、午前立会開始時間の前倒しなど
についての意見がまとめられています。
これは、東京証券取引所のホームページに掲載されているので参照してください。
「取引時間の拡大に関するディスカッション・ペーパー」に寄せられた意見の概要
この資料が公表された当時と現在では市況環境も変わっているところもありますが、
様々な立場の方が意見を寄せており、それぞれの意見になるほどと思わせるものがあります。
夜間取引に関して、個人的には避けて通れない流れだと考えていますが、
夜間市場が開設されたところで、利用する個人投資家はそれほど多いと考えられず、
低調とならざるを得ないのではと予測します。
■未来を担う子供たちに投資の学習機会を
議論は常に行われる必要があるでしょう。
(常設という意味でなく、定期的に検討や議論するといった感じです)
先のニュースのように、市場のニーズを調査したり、研究会を行ったりして
検討を繰り返すのは意義があると考えます。
ぜひ、行われた議論については公表していただきたいですね。
さらに付け加えるならば、
子供のころから金融や投資に対する知見を広める機会を増やすことも大切だと思います。
投資に関する正しい知識を身につけることは、
投資を身近に感じられるようになるのに
大きな意味があるのではないでしょうか。
どうも個人的な投資尺度でのコメントであり、参考にならない部分もあるかと思いますが、
長年、証券市場の関連の仕事をしてきた立場からコメントさせていただきました。