制度改革で広がるNISAの未来
年間100万円までの株式や投資信託の新規投資について、
配当金や売買益が非課税になるという新制度、NISA。
前回は、1月のスタートから現在までの
制度の活用状況について紹介させていただきましたが、
今回は、未来のお話です。
■二つの制度改革
現在、証券会社は、二つの制度改革を政府に求めているそうです。
ひとつは、NISAの拡張版となる「子ども版NISA」の創設。
もうひとつは、年間100万円となっている
現行の非課税枠の上限を最大300万円まで引き上げる案です。
「子ども版NISA」は、簡単にいうと、
「現行は20歳以上となっているNISAの口座開設を、
子どもにも認めてはどうでしょう?」ということです。
背景にあるのは、2015年からの相続税の増税。
死後相続となると、高い税金の支払いが発生するので、
生前贈与しようという人が増えるのを見越した制度です。
これだけではわかりづらいですね。仕組みはこうです。
財産を持つ親は、18歳までの子どもに対して口座を開設し、
株式や投資信託の運用で資産を形成。そこで発生した
配当金や売買益が一定額非課税になる、
というのが「子ども版NISA」の考え方です。
投資されたお金は、子どもが引き出し可能な年齢になるまでは、
累積していくことになります。
モデルはイギリスにある「ジュニアISA」という制度。
こちらは、以下のような仕組みとなっています。
創設は2011年。まだ利用総額は少ないそうですが、
大学入学資金などとして着実に増加しているとのことです。
■金融資産の引き継ぎ
日本にも、教育資金贈与非課税制度(13年4月開始)がありますが、
当初1年間の利用口座数が、2年間で見込んだ口座数を大きく上回っており、
「子ども版NISA」も成功する可能性も高いと考えられています。
証券会社は、「子ども版NISA」の制度が創設されれば、
金融資産が世代をまたいで引き継がれることになるので、
金融市場への資金流入が増加するのではないかと期待しているわけです。
「貯蓄から投資へ」といわれて久しいですが、
個人投資家といわれる人たちはまだまだ多いとはいえません。
しかし、NISAの開始や今回紹介したようなさまざまな制度拡充により、
投資に関心を持つ方が増えるのではないかと予想されています。
一方で、若い人たちは投資をしようにも、
元手が貯まりにくい状況であることもまた事実。
アベノミクスによる日本経済の再生にも、大いに期待したいものです。