NISA:金融機関が直面する課題(後編)
前回はNISAの概要をご紹介しました。
そこで、NISAを取り巻く課題の一つとして、
申し込みから口座開設までに時間がかかることを取り上げました。
■課題解決の糸口「マイナンバー制度」
この課題を解決する策は、実はすでに検討されています。
その一つが、「マイナンバー制度(いわゆる国民総背番号制)」の活用です。
マイナンバー制度の趣旨:
を利用すれば、
複数の金融機関での手続きも同一情報として確認がカンタンになり、
大幅な待ち時間の短縮どころか待ち時間なしで開設に至ることが可能になるでしょう。
すでに法案としては可決されているマイナンバー制度ですが、
残念ながら施行令案の概要公表を前に、事実上延期すると発表され、
パブリックコメントも任意の意見募集に切り替えられました。
延期の理由は、制度導入に対する国民の懸念が存在することだと考えます。
【懸念1】個人情報保護に対する国民の懸念
なりすまし犯罪や集められた個人情報データの漏洩への懸念があります。
これについては、第三者機関である「特定個人情報保護委員会」による監視・監督等の措置が講じられています。
【懸念2】制度導入効果への懸念
当初の利用範囲は、社会保証・税・災害に限定されているため、制度導入の初期費用(数千億と言われている)に見合った効果があるのか?との声もきかれます。
医療については複雑で、「医療保険」については対象となっているのですが、診療記録などの「医療情報」については対象となっていません。
効果を高めるためには、民間分野での活用促進が考えられますが、そうすると【懸念1】の問題が浮上してきます。
内閣大臣官房番号制度担当室は、
「詳細の掲載が可能となった段階で、改めて行政手続法に基づく意見募集を行う」
とコメントしています(2014.2.10現在)。
それぞれの課題がクリアになり、スムーズな利用環境が整うことを願うばかりです。
次回は、NISA導入による影響を含めた個人投資環境の変容について
お話しようと考えています。お楽しみに。