ビジネスメール書きくらべ(第5回)督促のメール
こんにちは、グレイテルです。
この特集は、システム開発部門女子と管理部門男子に、共通のシチュエーションでメールを書いてもらい、部署※や性別による違いをくらべてみようという企画です。
さて今回は何が見えるでしょうか?
※「ソルクシーズ」の部門情報はこちら。
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機器販売部門の担当者となって、主にお客様やメーカーに対するメールを書いてください。
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機器販売部門というのは、以下の図のようにお客様とメーカーを仲介する立場です。
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<ミッション№5>
督促のメール(お客様宛て)
自分:XYZ株式会社 野村 (OA機器の販売会社 営業部 担当)
宛先:株式会社EEE 松永 (食品製造会社 総務部 課長)
趣旨:支払依頼
背景: 支払予定日1月31日を過ぎ、1か月経過したが入金されていないため、支払予定日を確認する。初めに松永氏に電話をしたが不在だったためメールで督促する。請求内容はI社ソフトウェアライセンス650万円(税込)。初回の督促である。
■システム開発部門女子■
件名:ソフトウェアライセンス料金について
平素よりご愛顧賜り、感謝申し上げます。
XYZ株式会社、営業部の野村です。
さて、I社ソフトウェアライセンス代金のお支払いについてですが、お約束の1月31日を過ぎました現在、 ご入金の確認ができておりません。
金額は650万円(税込)です。
何かの手違いかとは存じますが、どうぞご確認のうえ、早急にお支払いくださいますようお願い申し上げます。
なお、本メールと行き違いでご入金いただいております場合は、失礼をお許しください。
(※1)
■管理部門男子■
件名:お振り込み、ご確認のお願い
株式会社EEE 総務部 松永様
いつもお世話になっております。
XYZ株式会社の野村です。
さて、I社ソフトウェアライセンス、650万円ですが、本日に至るまでご入金の確認ができておりません。
ご入金の予定日は1/31と認識しておりますが、お間違いはありませんでしょうか?
どうぞご確認のうえ、早急にお支払いくださいますようお願い申し上げます。
なお、本メールと行き違いでご入金いただいております場合は、失礼をお許しください。
以上、宜しくお願い致します。
(※1)
☆今回のアハ!ポイント☆
今回のポイントは「督促の程度」です。普段は多少難しい条件でもお客様のご希望に沿うよう尽力している野村さんですが、今回は少し様子が違います。お客様に契約違反があったのです。
期日までに支払わないというのは重大な違反ですから何としてもお支払いいただかなければなりません。
ただ、いくら相手の落ち度が明確であるとはいえ初めての未入金です。どの程度の強さで督促するかというのはとても加減が難しいところです。
さて、まずは件名から見てみましょう。
今回はセンシティブな内容なので、どちらも高圧的にならないように気を配ったようです。システム開発部門女子の「ソフトウェアライセンス料金について」は “代金未納”をあえて遠回しに伝えようという意識がうかがえますし、管理部門男子の「お振り込み、ご確認のお願い」はとても控えめですね。
次に本文です。
おもしろいと思ったのは、それぞれ強調している要素が違うことです。システム開発部門女子は金額を目立たせています。管理部門男子は日付の確認を強調しています。
システム開発部門女子は、すでに支払予定日を過ぎているこの時点では、日付よりも金額が重要と考えたのかもしれません。管理本部男子は、以前の見積依頼のメールの時と同様、「お金の話は遠巻きに表現するのが礼儀」という考えを貫いたようですね。
一番最後の段落の「本メールと行き違いでご入金いただいております場合は~」は督促メールの決まり文句です。システム開発部門女子は「何かの手違いかとは存じますが」というフレーズを追加しました。金額を目立たせた直後に相手の立場をおもんぱかる言葉を使うことで、もしかしたらびっくりしたかもしれない読み手の心を鎮められました。
比較するとこうなりました。
表:メールの比較
今回は「部署による違い」に注目しました。
システム開発部門女子はお客様と対等であろうとし、管理部門男子は終始低姿勢であると感じました。
システム開発部門女子は、お客様の要望をそのまま受け入れるのではなく、話し合いでよいものを作るということを普段から業務でおこなっているため対等であるという認識があるようです。
一方管理部門男子は、「お願い」というかたちで従業員に会社のルールを守ってもらう機会が多いのでしょう。
機器販売部門のグレイテルからひと言つけ加えると、大事なことを伝えるメールは返信をもらえるような書き方をすることをお勧めします。
督促メールを例にすると「お支払予定日をお知らせいただけますでしょうか。」「お振込み済みの場合は振込日をご連絡いただけますでしょうか。」など。受信確認にもなるし、返信の催促もしやすくなります。
次回は最終回!「第6回:お詫びのメール(お客様宛て)」をお楽しみに!
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※1 ビジネスメールでは通常「署名」を付けますが、この特集では省略します。