第7回 そるくんの知らない「SDGs」の世界
ソルクシーズのキャラクターとして博識になれるよう、ボクが「あれ?」って不思議に思ったことを深く勉強していくこのシリーズ。第7回目は、そるくんの知らない「SDGs」の世界。
今のぼくたちの生活はとっても便利だよね。暑い夏もクーラーをかければヒエヒエだし、涼しい部屋でスマホを見ながらゲームしたり、買い物をしたりして、荷物は宅配で届くし、食事も手間をかけずにコンビニやファミレスで済ませることも可能。
でも、、、ぼくたちがそんな生活を続けた結果、地球環境は限界に達しつつある、と言われているんだ。地球が再生産できる資源量の1.7倍を人間が使っているとの調査結果もある。
そんな地球の限界(プラネタリー・バウンダリー)への対抗策として、2015年9月に国連総会で、貧困や飢餓、エネルギー、気候変動、平和的社会などに関する問題を解決するための 持続可能な開発目標(SDGs) を中核とする「2030アジェンダ」が採択されたんだソル。
SDGs(エスディージーズ)は、Sustainable Development Goalsの略。2030年までに「あらゆる垣根を越えて協力し、よりよい未来を作ろう」と国連で決まった17個の目標のことだよ。
最近いろいろなところで耳にすることが増えてきた「SDGs」について、そるくんと一緒に勉強しよう!
SDGs 採択の背景
前の項で触れた、地球の限界(プラネタリー・バウンダリー)の兆候を感じているひとは少なくないと思う。
「地球温暖化」という言葉を聞いたことはあるよね?工業活動や車社会、それぞれのおうちのクーラーの排気などで、温室効果ガスが発生して上空に層を作り、地球から宇宙に放出されるはずの赤外線を吸収してしまっている。
これによって世界中のあらゆるところで氷河が溶けてなくなってしまっていたり、命の危険を感じるほどの猛暑に襲われていたり、、、。
日本でもこの数年、台風の巨大化に伴う被害が相次いでいるけど、アメリカではもう10年以上も前に巨大な嵐(ハリケーン)による被害が注目されていたし、ヨーロッパで大洪水が起こったのを覚えているひともいるかもね。
一方、砂漠やアフリカ大陸では極端な少雨や干ばつが起こっている。
地球環境の変化により、森林やそこに住む動物たちが影響を受けて、絶滅の危機に瀕している。影響を受けるのは人間も例外ではなく、新たな病気が流行ったり、過酷な状況下では十分な食料や水、必要な医療が得られなかったりしている。
自然環境に起因する問題だけでなく、先進国と開発途上国の間の貧富の差が拡大していることも踏まえ、世界全体で解決すべき課題を定義し、取り組んでいこう、ということになったんだよ。
実はSDGs の前に、2015年までを達成期限としたMDGs(Millennium Development Goals)というものがありました。
MDGsの目標は、貧困や飢餓の撲滅、乳幼児死亡率の削減、妊産婦の健康の改善、HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延の防止などを含む8つ。発展途上国の問題が中心で、先進国はそれを援助する側という位置付けだったソル。
それに対し、SDGsは、経済・社会・環境の3側面すべてに対応し、先進国にも共通の課題として設定してるんだソル。その目標達成に企業の役割が重視されているのも特徴だね。
SDGs 17個の目標
17の目標は、こんなカラフルなアイコンで表現されているよ。
(※国際連合広報センターが提供しているロゴをガイドラインにしたがって使用)
全体像を把握しやすくするために、キーワードでざっくりカテゴリ分けして紹介します。
No17の「パートナーシップ」を軸として
【経済】系:No8 、9、12-経済成長、産業・技術革新、仕事の仕方、企業の在り方と消費の仕方
【社会の仕組み】系:No1、2、3、4、5、10、16-貧困、飢餓、健康、教育、差別・格差への対策
【インフラ】系:6、 7、 11-資源(水、エネルギー)の作り方・使い方、処理の仕方、街づくり
【自然環境】系:13、14、15-自然破壊・気候変動への対応
という課題をカバーしている。
ただし、目標はすべて有機的につながり合っているので、きっちりグループ分けできる、ってことじゃないから注意だソル!
SDGsの特徴
SDGsは、その決定プロセスがユニーク。
政府、国連や研究者だけでなく、3年かけて、市民社会・企業、若者や女性などさまざまな立場のひとへのオンライン調査を経て決定したんだソル。
そして、すごいところは国連の ”すべて” の加盟国がこの目標に賛成している、ってこと。
もうひとつのすごいところは、17の目標全部が関連し合っている点。
例えばNo1「貧困をなくそう」という目標は、No4の「質の高い教育をみんなに」とかNo5の「ジェンダー平等を実現しよう」という取り組みにより、今まで教育を受けることができなかった人たちがスキルを身につけて働くことを支援した結果、実現するかもしれない。
だから目標達成のために誰でも自分ができることから参加できるし、実践にあたって“正解”がない。それよりも”どれだけみんなで協力し合えるか”が大事かもしれないね
SDGsへの取り組み例
日本政府は、2015年に国連でSDGsが採択された後、「SDGs推進本部」を設置し、『SDGs実施指針』を策定したり、『ジャパンSDGsアワード』を創設したりして、国だけでなく自治体、企業、市民社会による取り組みを推進しています。
そるくんが最近目にした事例はこちら。JR東日本グループが「自社の取組みの紹介」と「SDGs の理解促進」を目的として山手線で「SDGs ラッピングトレイン」を運行しているよ(10月18日から来年1月末までの予定)。
みんなも注意してみると、SDGsに取り組んでいる自治体や企業のポスターをみかけることができるはず。
カラフルなアイコンとSDGsという文字に注目だソル!
僕たちに出来ること
国や企業などの取り組みを紹介したけど、SDGsの目標達成のために僕たちひとりひとりが出来ることってないのかな?
マイバックや水筒を使う習慣を身につけるというコツコツとした活動から、もうちょっと大きな活動に関与したければ、SDGs活動をしている企業や団体を応援する、というのも考えられるね。
今の世界は経済優先で、一握りの巨大企業が世の中を動かしているように見えるけど、一方でSNSを使って発信・連携する消費者の力が大きい。つまり消費者の意識が変われば企業の姿勢やそのパワーバランスを変えることができるカモ。
フェアトレードやオーガニック製品を愛用する、地産地消、障がい者支援、伝統技能保全や動物福祉につながる製品や寄付付き商品を買うなど、個人ができることはいろいろある。
「Good for me」=「Good for the World(Earth)」って思って、無理せず気持ちよく続けられるといいな。
SDGsの目標はつながり合っているって話をしたよね。ひとつの目標達成を考えると自然に他の目標達成につながる。だから、まずは自分が出来そうなこと、自分が「大事」だと思うことから始めればいい、そるくんはそう考えています。
目標がつながり合っているから、逆に矛盾にぶち当たることがあるかもしれない。そんなときは「やわらかあたま」でどっちもうまくいく方法はないかな?みんなが幸せになる方法はないかな?と考えてみる。
取り組み始めると自分だけでできないこともわかってくる。そしたら仲間を探してみるといいよね。SDGsは世界共通の目標だから、その仲間は世界中から探せばいいんだよ。なんだかワクワクしない?
SDGsのスローガンは
「no one will be left behind(誰も置き去りにはしない)」。
みんなで手を取り合って、2030年には今より美しい地球と、たくさんの人たちの笑顔が見たいな。
そのためにそるくんもがんばるソル。
●参考文献●
『未来を変える目標 SDGsアイデアブック (Think the Earth 著、蟹江憲史-慶應義塾大学大学院教授 監修、ロビン西 マンガ・イラスト』(紀伊國屋書店)
『不都合な真実(アル・ゴア 著、枝廣淳子 訳)』(実業之日本社)