第1回 そるくんの知らない「新年のお祝い」の世界
そるくんです。今年もよろしくお願いします!
昨年はいろんな国の言葉を勉強した僕だけど、今年も師匠:あんどくん※ のように博識になれるよう、「あれ?」って不思議に思ったことを深く勉強していきたいと思うソル。
※あんどくん:そるくんよりも少し年上で博識。そるくんの師匠的な存在。
第1回目は、そるくんの知らない「新年のお祝い」の世界。
日本では、1月を「お正月」って呼んで「新年 明けましておめでとう」って挨拶するよね。でも「お正月」っていうのは日本だけだし「そもそも新年の始まりは、どこでも1月1日なの?」って不思議に思ったことない?
ということで、世界の「新年のお祝い」について色々調べてみたソル。
いろいろな暦
お祝いの話をする前に、まずは「暦(こよみ)」の話から始めるね。1月1日が1年の始まりになったのは、古代ローマのジュリアス・シーザーが「ユリウス歴」を制定したからなんだって。
それ以前は、例えばエジプトではナイル川が氾濫する9月23日ごろが1年のはじまりだったんだよ。へー、びっくり。同じ頃に栄えたバビロニア王国では春が1年の始まりだったそう。たしかに春も何かの始まりって感じはするよね。
暦は宗教とも深く関係していて、ユダヤ教の人々は「ユダヤ歴」、イスラム教の人々は「イスラム歴」を使っているよ。クリスマスのお祝いをしなかったり、イスラム歴は年によって異なる季節にずれていくのを知っている人もいるかも。ユダヤ歴も年によって動くけれども新年はだいたい秋分の日の前後だソル。
ユダヤ教の人々にとって新年になった日はもっとも神聖な日。教会堂へ出かけ、過去の行いを懺悔し、新年の良い行いを誓います。日本人が大晦日の夜中から新年にかけて神社にお参りするのに似てるソルね。家族揃って新年のごちそうを食べるところも日本の「おせち」みたいだね。
アジアの新年のお祝い
ここからはアジアの国の新年のお祝いを見ていこう。
ラオス、カンボジア、ビルマ、タイで行われる「水かけ祭り」って知ってるかな?色や香料をつけた水を互いにかけあって新年を祝うんだソル。めでたいことだから誰かれ構わず水をかけていいので、この時期知らずに旅行で訪れ全身びっしょり、なんてことにならないように注意だソル!
中国にも「中国暦」というのがある。ちなみに「元旦」は中国で新年を表す言葉。大晦日から元旦にかけて爆竹を鳴らしまくる映像を見たことがあるかもしれないけど、あれは“悪魔払い”のためにしているんだって。
元旦は1月1日なんだけど、それとは別に中国暦の一つ「旧暦」での正月(旧正月)は「春節」と呼ばれ盛大にお祝いする。「春節」の最後 「元宵節」(げんしょうせつ)には、家に赤い提灯を下げ「元宵」っていうおだんごを食べるんだそう。どんな味かな、食べてみたい!
こちらも日本のお正月とは時期がずれているので「お店が休みだった!」「春節の大混雑に巻き込まれた!」なんてことがないように事前チェックが必要だソル。
日本の新年のお祝い
続いて日本の新年、お正月のお祝いについてお話しするね。
新年に「門松」や「注連縄(しめなわ)」を飾るお家を見たことがあるソル。
「門松」は年神さまが降り立つところ。松は常緑樹なので「不老不死」の象徴、竹も同じく常緑樹である上、竹の子を生じ、成長も早いことから「子孫繁栄」の象徴なんだって。
「門松」は「松の内」と呼ばれる1月7日まで飾り、その後は取り払う。でも元々は小正月の15日まで飾っていたんだソル。
明歴3年(1657年)に江戸で起こった「明歴の大火」の後に、「乾燥した松・竹を長期間放置するとあぶない」ということで、幕府が取り払いを7日に早めるお触れを出した。関西地方はもっと長く飾っているかもね。
お祝いの食べ物
最後は、そるくんも大好き!な食べ物のお話。
お正月の食べ物といえば、やっぱり「おせち」。漢字で「御節」。これは「御節供(せちく、転じてせっく)」の略で、神に供えた食べ物を下げて食べる料理という意味なんだソル。
江戸時代に「節供」は「節句」とも書かれるようになり、神様への捧げものという意味が薄れてきたんだそう。季節の変わり目を「節句」というね。「端午の節句(5月5日)」「重陽の節句(9月9日)」って言葉を聞いたことがあるかもしれない。
お正月に「鏡餅」をお供えするおうちもあるね。これは年神さまへのお供え物。お餅をふたつ重ねるのは、「日と月」「陰と陽」「夫婦」や「親子」という意味がこめられているんだって。
鏡の名前がついているのは、鏡が皇室の三種の神器のひとつであることから、御神体になったからなんだよ。そういえばお餅が古代の鏡のような形をしてるよね。
1月11日(もしくは20日)に行われる「鏡開(かがみびらき)」でカチカチになったお餅を割って作るおしるこ、そるくん大好きー!これは「鏡割(かがみわり)」とも言うね。
神様に供えためでたい食べ物を食べると寿命が伸びると考えられていたからなんだソル。由来を知って食べると美味しい上に体にいい気がするよ♪
新年のお祝いについて上手に説明できてたかな?清々しい気持ちで今年も1年頑張るソル!
●参考文献●
『シリーズ世界のお祭り 6』(同朋舎出版)
『浮世絵で読む、江戸の四季とならわし (赤坂 治績 著)』(NHK出版)