(第3回)学び、教育(IT 人材編)
「ビジネスパーソンおひとりおひとりの【困りごと】を解消するための役に立ちたい!」ということで、スキルについての知見豊かな会社に突撃インタビューを試みました。
目の前の課題に真剣に向き合うみなさんにとって、ささやかでもお役にたてる記事になっていればうれしいです。
第3回は、当グループと同じ業界にちょっと対象を絞って【IT人材】育成についての悩みを解決するため、「株式会社エンべックスエデュケーション」※の布施様に質問をしてきました。
※「株式会社エンべックスエデュケーション」は、ITエンジニアの人材育成事業のノウハウを活かし、企業の新入社員向けIT技術者研修サービスなどを提供している会社です。
ソルクシーズグループも新入社員研修の支援を「株式会社エンべックスエデュケーション」様にお願いしています。
【10の質問】
●会社について
1.企業向けのIT技術者育成事業の重要性を感じられたきっかけは何ですか?
IT技術者を取り巻く環境が変化し、どこにいても開発ができる時代になっても、体系的なIT技術者研修は大都市圏で開催されるのがほとんどです。そのため地方の新入社員はITを体系的に学ばずに現場に入ることになり、その結果、残念ながら離職、という現状がありました。
IT技術者になることを夢見てこの業界に入った全国の新入社員の皆さんに、この業界の楽しさ・将来の可能性を、研修を通じて伝えることが弊社の『人材育成事業』の源になっています。
2.企業の人材育成支援として、どんなサービスをお持ちですか?
代表的なサービスは、新入社員向けIT技術者研修です。厚生労働省の認定を受けた体系的なカリキュラムで実施をしています。
他のサービスとして中堅社員向けのIT技術者研修もあります。詳しくは当社のサービスページをご覧ください。
3.講師の方々は、どんなスキルを持った方々ですか?
講師は、技術者出身の人たちです。ITエンジニアとしての技術を持っている人たちに対して、講師としてのコミュニケーションスキル・ヒューマンスキルを身につけるための訓練を2ヶ月以上かけて実施しています。
4.「新入社員向けIT技術者研修」の実績について教えてください。
2009年から全国で技術者研修を実施し、2016年までに累計数が全国38都道府県、参加企業数1,350社以上、受講者数が6,500名以上となっております。
5.自社の社員の研修中の様子やスキルの習得状況などが気になりますが、研修中にそれを知るしくみはあるんですか?
企業さまには「お客様サポートサイト」という専用サイトのアカウントをお渡し、研修中に実施するテストの結果をサイトでご確認いただけます。
受講者の皆さんには「コミュニケーションシート」を毎日記入してもらいます。学んだこと・理解不足な点・新たな気づきなどが書かれているので、講師からのフィードバックの材料としています。これも「お客様サポートサイト」で確認することができます。
コースの中間時と終了時には、受講者一人一人の修得状況をコメントした「中間(終了)報告書」を提出しています。
●「教え方」「学ばせ方」スキルについて
6.新人研修の全体方針に「社会人としてのプロ意識」を醸成する、という言葉がありました。学生と社会人の学び方(学ばせ方)の違いってありますか?
あると思います。学生と社会人では目的意識が違うので、自然に学び方も学ばせ方も違ってくるはずです。
学生でもプログラムは作れます。技術レベルの高い学生さんもいらっしゃるでしょう。しかし、学生が卒業研究のためや趣味でプログラムを作る場合、基本的に自分のために作っています。社会人は【顧客のため】に作り、その報酬を受け取ります。
私が担当している研修では学術的な理論より、顧客のための実務のやり方を常に意識して指導しています。
7.研修効果を上げるために、プログラムに取り入れている工夫について、教えていただけますか?
IT業界はプロジェクト形式で仕事をすることが多いので、カリキュラムの中に「プロジェクト型演習」を入れ、実務にできる限り近い形で運営させています。
受講者をグループ分けしてリーダーを選び、何人かのメンバーで構成する複数のプロジェクトを作ります。
同じ課題を与えて、要件定義書や設計書の作成、プログラミング、テストなどすべて自分たちで運営させます。私自身は発注者役と講師という一人二役を務めます。
8.IT業界って職人気質のひとも少なくなく、教え方があまり上手くないひともいます。そんなひとへのアドバイスなどありますか?
技術者としてのスキルと人に技術を教えるスキルはまったく別ですから、指導するスキルを学ぶ必要があります。
知識を伝えて理解させるスキル、自発的な気づきを得るように促すスキル、個別に相談に乗るスキル、グループ活動をうまく運営させるスキルなどです。
概念を説明する時は、なるべく相手が知っている用語だけを使って説明します。また言葉だけの説明では不十分で、図表やイラストや写真やサンプルプログラムといった視覚的な手段と口頭による言葉を組み合わせるのが効果的です。
学習は適切な段階を踏んで一歩ずつ積み上げていくことが大事で、途中の段階を飛ばして急に上のレベルのことを教えないようにします。
9.研修(集合教育)ゆえの大変さってあると思います。例えば受講者のレベル差が大きかったり、とか。そこはどのように対処されていますか?
受講者を「できる人」と「できない人」というふうに認識せず、学習が「進んでいる人」と「遅れている人」がいる、と思っています。演習問題を実施する時は、進んでいる人はどんどん先に進ませ、遅れている人には個別にアドバイスします。
全員が答えを出したらグループごとにメンバーからのレビューをし合い、知識と考え方の交換をするように促します。その後、各グループの代表者が全員の前でプロジェクターを使ってプレゼンし、質疑応答もします。
遅れている人は、そこで他の人たちから情報を吸収することができますし、進んでいる人は、自分の成果物やアイデアをわかりやすくプレゼンして理解を得るスキルの訓練になります。
受講者のみなさんはこのグループレビューが好きみたいで、これをやると研修会場が活気づきます。このような方法でクラス全体の知識とスキルのレベルUPを心がけています。
10.ソルクシーズグループの新入社員たちの印象はいかがですか?(笑)
みな前向きに真摯に研修に取り組んでいらっしゃると思います。学生時代になんらかの形でIT技術を学んだ人ばかりですから、開講時の知識のレベルは比較的高いです。
印象としては、穏やかで実直な人が多いですね。世代の違いだとは思いますが、私自身がその年齢だったころは、もっと騒々しかったような気がします(笑)。時代の雰囲気の表れだろうと思います。
※2016/6/1
「株式会社エンべックスエデュケーション」様のロゴが変わりましたので、差替えました。