音楽離れはホントか?市場の現状分析2

Webサイトの編集を手掛けることになった私、ひよっこ編集部員巧クンが

企画立案の手順を、趣味の音楽を例に自習してみました。

前回に引き続き、ステップ1「現状分析」を行います。

●音楽離れしているわけではない?

2012年が例外的な年だったと仮定しても、

音楽市場の規模が縮小していることは前回で述べた通りです。

ここで、その理由について考えてみようと思います。

音楽を楽しむために利用したサービス

図5:音楽を楽しむために利用したサービス(2012年) 全体数N=4948 (注3)
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図5を見ると、音楽そのものに興味がなくなってCDが売れなくなったのではなく、

CDにお金を払わなくても音楽を楽しめるサービス、

特にYouTubeに代表される無料動画配信サイトの存在が大きく影響していることがわかります。

通勤・通学中に、スマートフォンで気軽に、YouTubeなどの無料動画サイトを楽しめるのであれば、わざわざお金を払ってまで…、と考える人が増えても何ら不思議ではありません。

私などはYouTubeで気に入ったアーティストを見つけると、ついつい他の曲も気になってCDを買ってしまうタチなのですが(苦笑)。

要は、タダで聴ける・観られるものが存在するならば、

人はそれに対してお金を払わない、ということなのかもしれません。

もうひとつ興味深いデータをご紹介しましょう。

●コンサート市場の成長

年間動員数遷移

図6:年間動員数遷移 (注4)

 

総売り上げ金額遷移

図7:総売り上げ金額遷移 (注4)

 

図6、図7はコンサート・ライブ、いわゆる生演奏の動員数と売り上げを示したデータです。

音楽市場が年々縮小しているといいながら、

コンサート市場は右肩上がりで成長しています。

しかもこのデータは、コンサートプロモーターズ協会会員のプロモーターが主催したコンサートのみの状況であり、その他のプロモーターがいることを考えると、

日本全体のコンサート市場規模は更に大きく成長していると考えられるのです。

CDにはお金をかけないが、チケットを購入してコンサート・ライブに参加する意義。

それは、”その場でしか感じられない空気”だったり”臨場感”だったり、

”好きなアーティストと一緒にこのライブを作り上げているという充実感・達成感”を得ることなのではないでしょうか?

この体験は、たとえライブアルバムを聴こうがライブビデオを観ようが、

決して得ることは出来ない生の音楽の醍醐味ともいえるものであり、

コンサート市場の成長が示すように、ファンの興味がただ部屋で音楽を聴くだけだったものが、

アーティストと一緒にライブを作り上げる楽しさの追及にシフトしてきたことの表れだとも考えられます。
          cheering at a metal concert
今後CDを買うのは一部のマニアだけになり、一般の人はYouTubeで曲を覚えてライブを楽しむ、という構図になっていくのかもしれません。

次回は、企画立案のステップ2「業界最新情報(キーワード)の学習」について書きたいと思います。お楽しみに。

 

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注3:出典「一般社団法人日本レコード協会」
     -2012年度音楽メディアユーザー実態調査報告書―公表版―
注4:出典「一般社団法人コンサートプロモーターズ協会」
     -年別基礎調査報告書(2008年度版~2012年度版)

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