知らない間に経験済?キーワード学習2
企画立案の手順を自習するシリーズ。
ステップ2「業界最新情報(キーワード)の学習」の後編です。
●実店舗がショールーム?
みなさんは「ショールーミング」という言葉をご存じでしょうか?
言葉は知らなくとも実際にやっている、という方は多いと思います。
実店舗で、欲しいと考えている商品を品定め(例えば、店員に詳しい説明をしてもらったり、
類似商品と比較したり、
あるいは写真などでは判りにくい色味などを判断したり)して購入を決めますが、
実際に購入するのは、その店舗ではなく、
もっと安い価格で売っているECサイトを選択する、という行為のことです。
まさに実店舗がショールームになってしまうわけです。
前回「オムニチャネル」という用語の解説をしました。
これは、実店舗だろうとECサイトだろうと、
いかにお客様に自分の“ところ”で買ってもらうか、様々な工夫を凝らした結果です。
自社のECサイトで買い物をしてもらわなければ、
他社のECサイトに顧客を横取りされてしまうことになり、企業としては死活問題ですから。
実店舗とECサイトのポイント付与サービスを一本化して、どちらでも使えるようにするとともに、
実店舗とECサイトそれぞれで持っている顧客情報※ を統合し、効果的な宣伝施策をする。
(※購入履歴、興味のある商品の傾向など)
企業ブランドを高めて、あそこの店なら買おう、と顧客に思ってもらう。
そのような創意工夫が求められているのです。
それが「オムニチャネル」というキーワードを考える上で重要な要素です。
その”工夫”という観点から、
「O2O」で大きな成果を上げた企業の例を二つほどご紹介して、今回の記事はおしまいにしましょう。
<例1>あきこちゃん
大手コンビニチェーンの株式会社ローソンが展開する
”ローソンクルー♪あきこちゃん”というキャラクターです。
あきこちゃんは、執筆時点(2014年3月下旬)で、
実に26種類ものソーシャルメディアを駆使し、様々なキャンペーンを行っています。
一方通行の情報配信だけでなく、お客様の質問に応えたり、
場合によっては新商品開発にお客様の声を取り入れたりもしているそうです。
さらに、ローソンでは来店したお客様に「Ponta」カードの作成を促し、
「Ponta」のポイントサービスを使った様々な施策と連動させながら、
お客様にリピーターになってもらおうという取り組みをしています。
<例2>「思い出のそばにはコカ・コーラと歌がある」
もう一つは、日本コカ・コーラ株式会社が2013年3月~6月に行ったキャンペーンです。
ボトルに4ケタの数字を印刷し、キャンペーンサイト上でシリアルナンバーを入力すると、
ボトルに書かれた年代にヒットした楽曲が10曲聴けるというキャンペーンを実施しました。
さらにソーシャルメディア上で繋がる友人に
自分のプレイリストをシェアすることもできるというものです。
メーカーと流通・小売業では立場も違うとは思いますが、
コカ・コーラ(日本法人に限らず)は、
常に企業のブランド価値を訴求することを重要視してきた企業で、
「O2O」においてもクーポン施策に陥りがちな他企業とは一線を画す、
新しい考え方を取り入れている稀有な企業といえそうです。
今回の学びがみなさんにとっても役に立てばうれしいです。
次回からは、企画立案のステップ3「企画案のブレインストーミング」に進んでいきます。
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参考サイト(2014年3月下旬閲覧)
http://www.lawson.co.jp/socialmedia/
http://www.cocacola.co.jp/press-center/press-release/news-20130304
参考文献
「O2O、ビッグデータでお客を呼び込め! ネットとリアル店舗連携の最前線」
松浦由美子 (2014年 平凡社新書)