購買意欲を見逃すな!企画ブレスト2

企画立案の手順を自習するシリーズ。
ステップ3「企画案のブレインストーミング」の後編です。
前回に引き続き、音楽市場を上向きにさせるためのアイデアを一人ブレインストーミング形式で出していきます。

(4)販促イベントとライブ・コンサートの連携案

ステップ1「対象市場の現状分析」の回で、

音楽ソフト売り上げの落ち込みに比べ、コンサート市場は伸びている、

ということを書きました。

ここで質問です。みなさんはどんなタイミングでCDを購入したくなるでしょうか?

私の場合、まずは新作の発売時、もう一つはライブ後、ライブの余韻に浸っている数日間です。

ライブで演ったあの曲、音源は持ってなかったから欲しい、とか、

Aというバンド目当てでフェスに参戦したけどBというバンドも凄く良かったのでCD買うか、といった具合です。
   open air

一般的に、アーティストが販促イベントを行うのは新作発売時です。

「当店で新譜をご購入いただくと、トークショー&ミニライブ、あるいはサイン会にご招待」

というような特典を目にしたことがある方も多いと思います。

これをライブ・コンサート後にも取り入れ、販促を図ろうという案です。

例えば、ライブの半券をお持ちの方を対象に、抽選でイベントにご招待 という方法です。

この方法は、ショップだけでなくアーティスト側にも手間がかかります。

でも、CDの売り上げを伸ばすチャンスを獲得できる、という意味では、

アーティストやレコード会社にもメリットがあります。

ライブ会場では、CDよりもツアーグッズを買う人の方が多いですから。

さらに、この(4)案のメリットは、海外アーティストでも実施可能、という点です。

ライブのために来日しているタイミングに合わせてイベント日程が組めれば、

普段なかなか接する機会のない海外アーティストと触れ合うチャンスが生まれるわけで、

洋楽ファンにも嬉しいサービスになると思います。

(5)カラオケ店で配信サービス案

「対象市場の現状分析」で、

「リスナーの意識が生で音楽を体感できるライブ・コンサートに向いている」、

ということを書きました。

その記事内で、音楽を楽しむために利用したサービスの結果として

「カラオケ」が4位にランクインしているという結果が出ています。

友人たちと一緒に、歌ったり合いの手を入れたり踊ったりと、

手軽に生の音楽を体感できるサービスということで廃れないんだと思います。

そこでカラオケ店で、音楽配信販売サービスを実施するという案を考えました。

友達が歌ったあの曲いいな、と思ったら、その場でリモコンを操作、

直接DAP(※デジタル・オーディオ・プレーヤーの略)やスマホに楽曲をダウンロード購入できるというサービスです。

 

ダウンロードされるのはもちろんアーティストの歌入りバージョンです。

この案のポイントも即時性です。

場が盛り上がっているタイミングだからこそ、熱に浮かされて購入してしまう、ということもあると思います。

(6)ニッチな専門店案

世間一般からみてマイナーなジャンルの音楽を愛してやまない人たちも意外と多くいます。

そういうリスナーの悩みは、

欲しいCDを扱っているお店が少ないとか、

そもそも日本盤が発売されていないとか、

配信サービスには一握りの超有名アーティストが登録されている程度で

自分が聴きたいアーティストは登録すらされていない、というケースが多い、ということです。

実はこういう、普段肩身の狭い思いをしているリスナーほど、

音楽・アーティスト・作品としてのCDを大切にする傾向にあります。

実際に私も、日本のショップではなかなか入手できない輸入盤購入のため、

イギリス・ドイツ・アメリカなど海外のECサイトを利用したり、

直接海外アーティストのホームページからCDを購入しています。

そういう、少数ながら購買意欲の高い層にアピールするニッチな専門店を立ち上げるという案です。

実際に、支店そのものを特定ジャンルの専門店化しているCDショップが存在しており、

そのジャンルのファンからは熱心な支持を集めているので、ニーズはあると思います。

ただ、輸入盤を多く扱うということで、

日本の音楽業界の底上げには余り寄与しないという点は注意が必要です。

あくまでユーザーのニーズに応えるサービス案、ということです。

■おわりに
以上、六つの企画案を提示してみました。いかがでしたでしょうか?

今回は、自習のためのブレインストーミングということで、思いつくまま、デメリットや実現可能性については度外視して列挙しました。

実際に仕事として企画を行う上では、

実現可能性やメリット・デメリットの分析、会社の利益になるかどうか、

といった観点を踏まえて立案をする必要がありますが、

今回はひよっこ編集部員の自習ということで、そのあたりの検討は今後勉強していくこととして考慮しませんでした。

   企画会議
ここまで7回にわたって、自習レポートを書いてきました。

題材も趣味の範囲ですし、実際に企画の仕事を始める方の参考になるかはわかりませんが、

個人的にはいろいろ勉強になる連載となりました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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参考文献
「音楽の明日を鳴らす」 高野修平 (2012年 エムオンエンタテインメント)

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