5分でわかる!今どきIT用語【HR TECH】
「GPU」「デジタルツイン」など、話題のIT用語の成り立ちを紐解くシリーズの第3回は「HR TECH」です。
HRは「ヒューマンリソース」、TECHは「テクノロジー・技術」。金融業界で「Fin Tech」が話題になりましたが、こちらは人材サービスや人事・組織・労務関連の新しい技術やサービスの総称として使われるようになった言葉です。
人事・労務・採用分野に新しいサービスが増えてきたのは、2000年代になってからです。従来、採用は求人広告や人材紹介、人材派遣が主流で、人事・組織関連はエクセルや社内システムを使う企業が多く、IT化が進んでいない領域でした。
最大の理由は、売上に直結する部門ではないこと。それぞれ専門性が高く、対応するパッケージやシステムのターゲットが狭かったのも、大きな改革が起こらなかった理由のひとつでしょう。
そんな領域に、ここ数年で新サービスが急増した背景として、クラウドの普及、スマートフォンやタブレットなどのデバイスの進化があります。
大企業は自社でシステムを抱え、中小企業はエクセル管理や手作業での処理を強いられていた業務に、安価で対応してくれるクラウドサービスが続々と登場。月額の利用料で人事・労務全般を管理できるサービスや、勤怠管理、目標管理、研修管理など特定の領域の業務効率化を図れるものが増えています。
勤怠管理や研修管理では、スマートフォンやタブレットで入力した情報をリアルタイムに反映できるシステムが普及し、人事の業務負荷は格段に軽減しています。
採用においては、検索エンジンの精度の向上やSNS利用者の増加によって求職者のアクションが多様化したことも、さまざまなサービスが生まれるトリガーとなりました。
求人広告や人材紹介を利用していた企業が、自社サイトやSNSで集客するようになり、応募者管理やコミュニケーション機能などの利用が増えています。
最近注目を集めているサービスは、社員の経歴や能力を一元管理・分析して適材適所を実現するタレントマネジメントシステムや、求職者とのコミュニケーションと情報収集を自動化するチャットボットです。
入社・退職の手続き、給与計算、勤怠やシフト管理など定型のタスクや、応募・一次選考・面接・最終選考といった採用プロセスを自動化するサービスは、AIの進化とともに急速に浸透していくと予想されています。
SNSなどの情報からエントリーシートが自動生成され、応募情報と動画面接の結果を分析したレポートで合否が決まり、入社時の年金・保険等の手続きは瞬時に完了。社員の分析によって適切な配属部署が割り出され、必要な研修の選定や目標設定、評価のフィードバックなどはすべてAIが担当…などという世の中になるかもしれません。
「管理するだけの管理職は要らない」時代がすぐそこまできているようで、なんだかドキドキしますね!