5分でわかるITトレンド2020 4)スーパーアプリ
AI、IoT、自動運転、xR、DARQ…。IT業界の技術の進化のスピードは加速する一方ですが、メディアやコンテンツ分野においても、競争環境が激しくなっています。
「スーパーアプリ」という言葉をご存じでしょうか。日本では、ユーザー数8400万人(2020年7月現在)を誇る「LINE」が代表的な存在です。
ユーザー目線でいえば、「ショッピングや各種予約、通信、ニュース閲覧、ネットバンキングや決済などが何でもできるアプリ。事業者から見れば、「他社の各種サービスアプリと連携し、ワンストップで利用できるようにした統合アプリ」となります。
スーパーアプリが台頭し始めたのは2016年頃からで、中国の「WeChat」「Alipay」、インドネシアの「GoJek」、シンガポールの「Grab」が有名です。
「Alipay」は元々はスマホ向け電子マネーで、「GoJek」はバイクタクシーの配車アプリ。「WeChat」はチャットとネット通話からスタートしたのですが、現在は100万種類以上のアプリを統合したスーパーアプリとして、11億人以上のユーザーに利用されています。
メール、SNSはもちろん、ネットショッピング、ゲームや動画などのコンテンツ配信、銀行決済や公共料金の支払い、株式のトレーディング、タクシーの呼び出し、ホテルなど宿泊施設の予約、テレワーク関連のツール利用などがひとつのアカウントでできるようになっているのです。
当初はSNSのひとつだった「LINE」も、他国のスーパーアプリに負けじと多様なサービスを展開しています。
メッセージのやりとりに加えて、電話、地図、カメラ、ショッピング、ビジネスコミュニケーション、求人検索、アバターや着せ替え、便利ツール利用、セキュリティ対策、ニュースや天気予報のチェック、動画制作、レストランやタクシーの予約、フードやギフトのデリバリー。
2021年8月にYahoo!と統合し、「Aホールディングス」として世界のシェア拡大をめざす体制になれば、「LINE Pay」と「Pay Pay」の利用者数は1億人を突破します。
「LINE」は既に海外でも登録者のシェアを伸ばしており、月間のアクティブユーザー数はトータルで2億1700万人。タイ、台湾、インドネシアに日本とほぼ同数のユーザーを抱えています。
今後は、海外のスーパーアプリが日本に上陸し、シェアの取り合いとなる可能性もあります。
また、5Gや量子コンピューティングの技術革新と浸透も、スーパーアプリのマーケットを動かす可能性があります。
動画、VR/MR、AI、音声認識などを駆使したコンテンツやサービスが急増し、「最先端のスーパーアプリ」「従来型のスーパーアプリ」に分かれるかもしれません。
スマホはますます進化しそうですが、「5G対応ガラケー」は出るんですかね…。