令和に求められる「IT人材」のプロフィール②満足度向上人材
最先端技術が認知されてから、陳腐化したといわれるまでのサイクルが短縮化するなか、企業はどんなIT人材を求めているのでしょうか。
AI、IoT、ビッグデータ分析など、新しい技術やノウハウに対応できるスペシャリストが不足しているのは確かです。しかし、自社サービスの向上や生産性UPを目論む企業が人材を必要としているのは、新技術のためばかりではありません。
IPA(情報処理推進機構)が2019年6月に発表した「IT人材白書2019」を読み解くと、「満足度向上に寄与する人材のニーズが高い」といえるのではないでしょうか。
満足度と言われるもののターゲットは2つあります。ひとつは顧客で、もう一方は社内。企業や顧客のニーズに合った商品やサービスを的確に提供できる人材と、イノベーションを生み出せる企業文化・風土の創出に貢献できる人材が求められているのです。
両者が向いている方向は違えど、大きな共通項がひとつあります。自社を取り巻くマーケットの状況を常に把握し、相場観を持っていること。
製品を納品して対価を一括で得るだけでなく、成果報酬、サブスクリプションなどさまざまな課金モデルが出てきているなかで、商品やサービスの技術レベルが高いだけでは売れない時代が到来しています。
IT企業においては、自社のシステムエンジニア、保守・運用担当、企画部門、外部パートナーを束ねてサービスを構築できるマネージャーの存在がより重要になっています。
一般企業でも、自社のIT部門を強化する動きが顕著になっているようです。システム系の企業に高い開発費用を払うのではなく、自社内で連携を強化してサービスを生み出し、バージョンアップさせていこうとする会社が増えているのでしょう。
自社のサービスの強みとリスクを把握するためには、競合他社の動向やターゲットユーザーのニーズを把握しなければなりません。最先端技術のライフサイクルが加速しているということは、ユーザーが満足する商品・サービスのあり方も激しく変化するということになります。
こういった時代に対応するためには、貪欲に知識を吸収し、新しいことにチャレンジする姿勢が求められます。ITの知見を生かしながら、企画力やマーケティング力などを身につければ、デジタルトランスフォーメーション(DX)に参画することも可能になります。
IT人材としてキャリアアップしていくためには、新たな技術やノウハウの情報をいち早くキャッチし、自分の強みを強化していくことが重要です。
また、最先端の技術者ではなく、マネジメント人材をめざすなら、ロジカルシンキングやコミュニケーション力も必須能力となるでしょう。
エンジニアにとって、大変な時代になりつつありますが、キャリアの選択肢が多様化しているとポジティブに捉えて、日々スキルアップしていきましょう。