ビジネス利用が大幅に緩和!AI時代の新・著作権法を知っておこう
Webサイトや企画設計、プランニングなどの仕事をしていると、避けては通れないのが著作権法です。
サイトに掲載するテキストや画像、企画書に添付する資料などについて、
「参考サイトに掲載されている画像がバナーとして表示されるのは問題ないのか」
「資料として新聞記事を引用する場合も許諾が必要なのか」
「AIで情報を解析して、おすすめコンテンツなどを表示する場合、AIで取り込んだ情報に関して著作権法上の制限はあるのか」
などと悩んだ経験がある方も多いのではないでしょうか。
「著作権法ってどんな法律なの?」から説明を始めると、膨大な記事となってしまうので、詳しく知りたい方は著作権情報センターの「はじめての著作権講座」に目を通してください。
著作権は、知的な創作活動を行って著作物を生み出した人に自動的に付与される権利で、譲渡や売買が行われない限りは死後70年まで保護されることになっています。
権利侵害なので罰則はないと誤解されることも多いようですが、親告によって権利侵害罪が認められれば懲役あるいは罰金刑を科され、法人の場合は最高で3億円の罰金となる可能性があります。
さて、ここからが本題です。
2018年の末から2019年にかけて、著作権法の改正が施行されました。
変更の趣旨は、「デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定の整備」「教育の情報化に対応した権利制限規定等の整備」「障害者の情報アクセス機会の充実に係る権利制限規定の整備」「アーカイブの利活用促進に関する権利制限規定の整備等」の4点。
これだけだと何が変わるかわかりづらいので、実際のビジネスや教育現場に即した内容に置き換えて解説していきます。
改正の大きなポイントは、「IoT、ビッグデータ、AI等の技術活用を促進するために、著作権の適用範囲や制限に柔軟性を持たせる」ということです。
新たに許諾を必要としない利用が認められるケースとして、「AIによる情報解析やセキュリティ確保のためのソフトウェアの調査など、著作物を享受する目的で利用しない場合(著作物の非享受利用)」「検索サービスなど、新たな知見・情報の創出が著作物の利用促進に資することになり、権利者の不利益が軽微である場合(著作物の軽微利用)」があります。
これらの改正によって、AIのディープラーニングや各種情報解析など、著作物を鑑賞する目的ではないケースの利用が大幅に認められ、コンテンツや所在地などの検索サービスや評価・閲読などの状況分析においても権利を有しない著作物を広く利用できるようになりました。
もうひとつ、大きな改正として、「教育機関の情報化対応」があります。
従来から、授業に必要な素材のコピーは求められていたのですが、今回新たに「オンデマンド授業における講義映像の送信」「予習・復習用教材のメール送信」など、公衆送信の範囲が拡大することになり、多様な授業を著作権者の許諾なしで実施できるようになっています。
変更内容について正確に知りたい方は、文化庁が公表している新旧対照表をご確認ください。
権利者の許諾なしで利用できるケースについては、条件付きのものもあるので、著作物やデータを扱うシステムエンジニアやWebマーケティング担当者は、新しい著作権法についてしっかり把握しておいたほうがいいでしょう。
まずは、「著作権法は、新たなビジネス・サービスを生み出しやすくなる方向に改正された」ことを押さえてください。