ITプロジェクトの失敗・ありがちパターンと処方箋【後編】
前編では、計画に起因する失敗パターンと、それを避けるためにする「成果の明確化」の重要性や「プロジェクト計画書の必須項目」について紹介しました。
後編では、コミュニケーションが原因で発生する失敗パターンについて解説していきます。納期や費用が想定通りにいかないプロジェクトにおいて、ありがちなのは「顧客とコンセンサスがとれていなかった」ケースです。
「完成形のレベルについて共有できていなかった」「無理なオーダーと感じつつ引き受けてしまった」「顧客側のタスクが遅延したために全体が影響を受けた」などが「失敗プロジェクトあるある」です。
多くの発注者は、「お金を払っているのだからできるだけのことをやってほしい」「基本的にはすべてやってもらえる」と考えています。
費用を割高だと感じている顧客なら、「品質を目いっぱい上げてほしい」「早く納品してほしい」と思っており、予算がない顧客は「それぞれのフェーズにおける経費や日数をぎりぎりでやってほしい」とオーダーしてきたりします。
プロジェクトを成功させるポイントとして、「顧客の理解や協力をどこまで得られるか」は重要です。ゴールを共有する際には、予算内でできないこと、含まれていないことを明確にする必要があります。
品質を高めるためには、自社の人員のスキルレベルと業務内容を理解している社員にヒアリングする時間を取ってもらわなければなりません。
プロジェクトにおける顧客側の体制とスケジュール感を把握していなければ、そもそもの設定に無理があったと反省することが事前に決定してしまいます。
「顧客はシステム開発について詳しくない」ことを前提として、具体的なゴールとやってほしいことを明確化し、スケジュールやタスクリストに落とし込むようにしましょう。
顧客の要望とその理由、わかることとわからないこと、協力してもらいやすい時間や形式などについて、計画書を作る段階ですべて洗い出しておくのが基本です。
プロジェクトのメンバーや外部パートナーについても、同様のコミュニケーションが必要です。それぞれのプロジェクトに対する理解度、今までの業務経験や強み・弱みを把握したうえで、進捗確認などの管理業務設計やリスクマネジメントを行うようにしましょう。
プロジェクト内の人間関係の悪化や個々のモチベーションの低下が、ミスやトラブルにつながるケースは少なくありません。
以上、ありがち失敗パターンと対処法を紹介してきましたが、くれぐれも状況管理と進捗管理は怠らないようにしてください。これらは、プロジェクトが予定通りに進んでいるかをチェックするとともに、「正確な情報が迅速に共有されるカルチャーを醸成する時間」でもあります。
成功するプロジェクトには、自社スタッフ、外部パートナー、顧客のコミットメントが高いという共通項があります。計画とコミュニケーションが適切であればうまくいくと肝に銘じて、新たなプロジェクトに取り組んでまいりましょう!
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