求められる人材像が変わる!デジタル時代の「現場力」
AI、Fin Tech、Ed Tech、5G、エッジコンピューティングなど、さまざまな新しい技術や枠組みが話題になっているなか、スペシャリティが高いITエンジニアの重要性がますます高まっています。
新しいサービスやシステムの開発現場は、明らかに人手不足。秀逸なビジネスアイデアがあっても、それを的確に形に落とし込むことができる人材がいなければ、中国やアメリカなどの技術先進国に市場を取られてしまいます。
より効率よく、質の高いアウトプットを求められる次世代のエンジニアには、どんな力が必要なのでしょうか。最近になって、語られることが増えてきたのは「現場力」の重要性です。
定型的な業務はAIやRPAにまかせられるようになった世界で、現場でプロジェクトを動かす人材に最初に求められるのは「課題発見力・解決力」です。
「本質的なニーズや問題を読み取る力」と言い換えた方がわかりやすいかもしれません。
「サービスの質を高める」「業務の効率化を推進する」「マーケットシェアを拡大する」など、どんなテーマにおいても「わからないこと」「障壁になっていること」が必ず存在します。それらの問題を明確にして、どういうプロセスで解決に導いていくのかを設計できる人材こそが、ツールやシステムのポテンシャルを最大限に活用できるというわけです。
それらを実現するうえで、重要となるのは「現場で起こっていることを客観的なデータとして蓄積させ、可視化・資産化する力」です。
経済産業省が2018年5月に発表した「2018年版ものづくり白書」は、これまで重要とされていた現場力は暗黙知や定性的な知見が多く、人手不足が叫ばれるなかで組織の共有知として活用できていないと指摘しています。
ここで語られている現場力の定義を紹介しましょう。
■従来の「現場力」
「暗黙知や職人技」をも駆使しながら、問題を「発見」し、企業や部門を超えて「連携・協力」しながら課題「解決」のための「道筋を見いだせる」力と仮定。「カイゼン」や「すり合わせ」にも通じる力。
■これからの「現場力」
質の高い現場データを取得し、デジタルデータとして資産化する力
職人技(技能)を技術化・体系化、暗黙知を形式知化し、デジタルデータとして資産化する力
(経済産業省「2018年版ものづくり白書」概要より引用)
経営と現場が連携し、解決策を講じるための情報整理・分析手法と施策推進のプロセスを再現性の高いものにすることが、企業・組織における資産となるというお話です。
職人的なスペシャリストよりも、全体を的確に把握してリアルな解を導き出せる人材が価値を高められる時代。エンジニアが身につけなければいけないスキルは、確実に高度化・多様化しているようです。