第6回:「履歴書の書き方」(自己アピール編)
リビングでノートパソコンとにらめっこしながら「うーん……」とうなっている太郎。
太郎が時々こちらをちらちら見ていることに気づきながらも、黙ってお茶を飲むセツ子。
根負けした太郎が、セツ子に話しかけてきた。
太郎(太)「おかん、ちょっとアドバイスが欲しいんだけど」
セツ子(セ)「何のことで?」
太「大学で、履歴書の書き方講座を受けてるんだけど、課題が難しいんだよね」
セ「それって講座でツッコミ入れられるのが前提の課題じゃないの?おかんが手伝ってどうするのよ」
太「先にちょっとツッコミ入れてくれると気持ちが楽かなーって」
セ「仕方ないなあ。直接は教えないけど質問なら答えるよ」
---履歴書の書き方Q&A---
太「自己PRに書く内容ってどんなことがいいんだろう」
セ「質問の範囲が広すぎるね。候補はあるの?」
太「サークルのイベントで頑張った話と、ゼミでやった産学連携プロジェクトの苦労話」
セ「PG・SEの履歴書では、勉強の話の方がアピールになるね。特に社会人と関わった経験だったら興味を持って見てもらえると思うよ」
太「趣味にアニメやゲームって書いちゃいけないって聞いたんだけど」
セ「本当に趣味なら書いても全然問題ないよ」
太「そうなの?印象悪くならない?」
セ「ただし、趣味と言うからには聞かれたとき語れる内容が必要だね。おかんの会社の役員には、好きなゲームのシリーズをプレイするためだけにゲーム機を新しく買っている人がいるよ」
太「勝てる気がしない……」
セ「勝ち負けじゃなくて、そういう情熱があるなら堂々と趣味として書けばいいのよ。アニメの『聖地巡礼』から旅行が趣味になった人もいるし」
太「志望動機って?講座だから実感わかないんだけど『御社の企業理念に感銘を受け』とか書けばいいの?」
セ「それNGワード」
太「そうなの!?」
セ「趣味以上に語れる内容が必要だね。『自分の経験や将来像を考えた上で企業理念がマッチしていると思った』を具体例つきで書けるならギリギリOKかな」
太「結構ハードルが高いんだね」
セ「選考する側はもちろん、自分の会社の企業理念にマッチした人が欲しいと考えているよ。だけど、中途半端に企業研究をアピールされるくらいなら
『自分はこんな社会人になりたいと思っていてそれが実現できそうだから志望しました』
って言われた方がまだ印象がいいのよ」
太「そういうものなんだ……」
またノートパソコンとにらめっこする太郎。今度はよそ見せず集中しているようだ。
太「こんなものかな。あとは自分で頑張って書いてみる」
セ「そうそう、ちゃんと先生にツッコミ入れてもらいなさい。さっきの回答はおかん基準だからね」
セ(うーん。今はまだ練習だけど、就活本番になったら履歴書チェックしないと不安かもね)