ICTにおける課題
前回は、「学校教育現場におけるICT」と題して
国の実証実験としてのICT導入事例をご紹介しました。
ICTを利用した授業はおおむね好評のようですが、
課題がないわけではありません。
現状では、ただICTを導入しようと言っても、いくつもの壁があるのも事実です。
■ICT機器に関する課題
たとえば、ICT機器の運用に関して、以下のような課題が考えられます。
・児童生徒がインターネットの有害情報にアクセスしやすくなる
・個人情報の漏えいリスクが増す
・教材のデータサイズが大きかったり、多数の児童生徒が一斉にアクセスしたりするため
サーバーに負荷がかかり、授業時間内に教材のダウンロードが終わらない
・準備に時間が掛かり始業時間に間に合わない(充電切れや故障で機器が起動しないなど)
これに対応するためには、国、自治体、学校において、
情報セキュリティーポリシーや運用ルールなどを明確にし、
教職員も含めた利用者全員に周知徹底する必要があります。
■自治体など地域におけるICT化の課題
教育分野以外も含めた地域におけるICT利活用の課題として、
・導入コストが高い
・運用コストが高い
・費用対効果が不明確
など、費用に関する課題があることがわかっています。
さらに、
・自治体のノウハウ不足
・ICTのインフラが不十分
など、取り組もうと思っても、
それを実現できる状況にないという自治体も多くあり、
ICT利活用の地域間格差の拡大が懸念されています。
■健康に関する課題
生徒の健康に関する課題も出ています。
・電磁波(携帯電波)に発がん性リスク<2011年5月WHO公表>
⇒タブレット利用の安全性への懸念
・タブレット、電子黒板への光の映り込みによる目の疲労
・姿勢の悪化
などは親御さんには、特に気になる話だと思われます。
■学力向上に関する実証不足
最後に、学力の向上について。
教育現場にICTを持ち込んだことにより、
児童生徒の学習「意欲」の向上は見られるものの、
それが実際に学力・成績アップに直結しているか、というと、
現状では疑問が残ります。
今後、継続して実証実験を行ない、
データーを蓄積・分析することにより、状況が変わることを期待します。
■まとめ
以上、ざっとではありますが、
学校教育現場におけるICTの取り組みについて、まとめてみました。
課題もまだ残っていますが、
児童生徒の学習「意欲」が高まることは事実のようですので、
うまく課題を解決しながら、ICTを学力向上に役立てて欲しいと思います。
次回は、「社会教育/生涯教育におけるICT」と題して、
学校以外の学びの場におけるICT導入の取り組みをご紹介します。
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参考サイト(2014年5月上旬閲覧)
総務省・情報通信統計データベースへのリンク
【出典:「平成23年版 情報通信白書」(総務省)】:
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h23/html/nc223440.html