生涯学習のネックを解消するICT
前回に続きまして
「社会学習/生涯学習におけるICT」について考察を深めていこうと思います。
■内閣府の生涯学習に対する意識調査の紹介
2012年7月に内閣府大臣官房政府広報室によって行われた世論調査に、
「生涯学習に関する世論調査」というものがあります。
ここでは、その報告書のデータを基に、
世間の人たちが生涯学習についてどのように考えているのか、
いくつかの項目をピックアップして見ていきたいと思います。(注1)
表1:生涯学習をしている理由(複数回答、上位5項目)
<クリックで拡大>
表2:生涯学習を行うにあたっての課題(複数回答、上位4項目)
<クリックで拡大>
表3:生涯学習をしていない理由(複数回答,上位2項目)
<クリックで拡大>
この世論調査の結果を見てみると、
生涯学習をしている人もしていない人も、
「時間がない」ことがネックになっていることがわかります。
さらに、「費用」の問題、「場所」の問題が挙げられています。
これは特に私たち働く世代にとって致命的です。
どれだけ学ぶ意欲があったとしても、
本業である仕事の時間を犠牲にして学ぶ時間を捻出することは実際問題として難しい。
本業に関係のあるセミナーへの参加などであれば
上司の許可も得やすいでしょうが、
「趣味の歴史に関する公開講座があるのでその日は休みます」、
とはなかなか言いにくいものです。
費用に関しても、
誰もが自由に講習費を払えるわけではありません。
場所にしても居住地域の公民館ならともかく、
遠方の大学で公開講座が開かれると言われても、
皆が皆そこに集まれるとは限りません。
■時間・費用・場所
「時間」「費用」「場所」。
社会学習/生涯学習においてネックとなる
これらの懸念事項を排除できるツールとして、
「放送大学」と「eラーニング」の二つが考えられます。
しかし、「放送大学」については
入学し単位を取得するとなると学費の支払いが必要になってきますので
今回のブログでは「eラーニング」を推します。
「eラーニング、始めました」で書いたように、
・ネットにさえつながれば時間を選ばない
・費用がかからない
・施設や場所の制約がない
という特徴を持つeラーニングです。
“情報技術を用いて行う学習(学び)のこと”という言葉の定義通り、
ICTを活用した学びの代表格と言えるでしょう。
今回体験した「gacco」は、
パソコンだけでなくスマートフォンでも講義の閲覧ができるため、
通勤電車の中でも学習できるというメリットがあります。
時間・費用・場所というネックを解消できる情報技術で行う学び。
今後ますます利用者が増えていくことでしょう。
■おわりに
いかがでしたか?
今回は、私自身が取り組みやすいということで
eラーニングを取り上げましたが、
企画全体を通して語りたかったことは
生涯を通して学ぶことの必要性と、
そのためのツールとして各種ICTの利活用が広がっている、ということです。
学ぶにあたってICTを使わなければいけないということではありません。
第9回の記事で例示したように、
サークルや同好会、何々教室といった形で、
大勢で集まった方が楽しい、やりがいを感じるという人もいるでしょう。
方法やツール、そして内容は関係ありません。
時間は誰にとっても1日24時間、
空き時間・すきま時間はその気になれば作れるはずです。
自分のやりやすい方法で、できる範囲の時間で、
自発的にやりたいことをやる。
それが大切なんだと、この企画を通して改めて感じました。
もしこの企画をお読みになった方のなかから、
ひとりでも「何か始めてみようかな。。。」
という気持ちになっていただけたら、
執筆者としてこれほど嬉しいことはありません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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参考サイト(2014年5月上旬閲覧)
注1:表1~表3の出典
【「生涯学習に関する世論調査」内閣府大臣官房政府広報室(2012年7月) 】:
http://survey.gov-online.go.jp/h24/h24-gakushu/index.html