サイト人気UP指南 東 香名子さん(前編)
編集長:れいが“輝く女性”たちに会いに行き、彼女たちの専門分野について教えてもらうこの企画。
今回は、結婚したい独身女性の恋愛やライフスタイルについての記事が満載のサイト
「東京独女スタイル」の編集長:東 香名子(アズマ カナコ)さんに「人気サイトを作るには?」というテーマでお話をきいてきました。
※「独女(ドクジョ)」とは独身女性の略語です。
-「東京独女スタイル」サイトはいつ始まったんですか?
サイトは2010年にスタートしました。私がこのサイトに参加したのは、2011年で、震災の後ぐらいです。その後2012年に副編集長になり、2013年の夏から編集長をしています。
PV※が少ない「冬の時代」も経験しているんです。PVが増えてきて「みなさんの目にとまったな」と思えたのは2013年4月以降です。このサイトの記事がYahoo「ネタりか」に載るようになってからガーンとPVが上がりました。
※PV(ページビュー):ウェブサイトが一定期間内に閲覧された回数。
※ネタりか:芸能ニュースや国内外のめずらしい出来事、恋愛コラムなど、思わず誰かに言いたくなるネタを集めたサイト。各社から提供された記事を掲載。
さらに2014年になって、さらにPV数を伸ばしました。2014年はGunosy(グノシー)、SmartNews(スマートニュース)など、キュレーションニュースサイト元年とも言われていますよね。世の中の流れにも後押しされて勢いをつけ、現在は630万 PV / 月まで増えました。
ライターさんは20人ほどで、1日10本の記事を配信しています。やはり記事の本数を増やすことが、PVを増やすことにつながっています。
-わりと短い記事が多いように見えますが、このスタイルは意識しているんですか?
そうですね。ネット記事の読者さんって、通勤時間とか電車でささっと斜め読みというか、ぱっと10秒ぐらいで読んでしまう方が多いので、かなり軽いノリの記事がウケています。
このサイトは恋愛がメインテーマで、時間をかけて取材をしなくても読者に喜んでいただける記事も作れるというのもあって「取材を積極的にやってください」とライターさんにお願いはしていないですね。
芸能業界の記者発表に行っていた時代もありました。私自身が映画監督のインタビューに行ったこともあります、ほんと、気まぐれで(笑)。でも作業も大変なので、ほとんど今はしません。現在、エンタメ記事は「芸能記者レッド」さんがほぼ担当してくれています。この方は取材もしていると思います。
-「こういうテーマで書いてください」とライターさんに依頼するんですか?
このサイトには、大きいざっくりしたテーマ:『結婚する女になるためのサイト』というのがあります。それはライターさん全員に共有していただいています。その範囲内でみなさん自主的に記事を出してくださるので、ライターさんからのアイデア中心で記事はできています。
このサイトの特長として「ライター全員が独身女性」ということでやっています。
編集側が作りたいものと近しい考えをもった方々なので、そんなにズレたテーマを出してこられるライターさんはいないですね。
-「独身・アラサー」というようにメインの対象読者を絞った決め手は?
私自身がアラサー独女で「これ絶対好きでしょ?」という記事を作れるという自信があったからですね。例えば「結婚した友達と疎遠になっちゃったことを悩んでいる人は絶対いるから、この点を攻めよう!」とか……結構自信があったんですよね。
対象読者を絞ったとしても、恋愛というテーマは全ての年代の女性が気になることだし、カテゴリとして「エンタメ」とか「独女の性」というアダルト記事なども載せているので、絞ったわりには実際の読者層は広いんです。男性も2割ぐらいいます。女性読者もアラサーが中心とはいえ、幅広い年代の方に見てもらっているのではないでしょうか。
対象読者を絞ると、ライターさんに依頼しやすいというのも利点です。
「アラサーで結婚したいひと向けの記事を書いてください」と依頼すると、わかりやすいようです。
実は、「アラサーで結婚したいひと向け」とコンセプトを絞ったのは今年の夏なんです。それまでは、ざっくり「独身女性向け」だったので、編集スタッフもつかみづらい所もあったみたいです。コンセプトを絞ってから記事を作りやすくなりましたね。「アラサー・結婚したい独身向け」なので、“ひとりで生きて行くための節約法“という記事は載せていません。
-一番人気のカテゴリは?
“浮気・不倫”の記事が意外と人気があったりしますね。ただし、結婚したい独身向けなので、「不倫やりましょう」とか「不倫楽しみましょう」とかいう記事はNGで、「不倫はやめなさい」という記事に絞っています。
やっぱり悩んでいるひとは多いみたいで、不倫の記事は人気がありますね。結婚している方も男性の方も「覗いてみたい」という思いはあるようです。
あとはアラサー独身女性特有の“人間関係”の悩みですね。先ほど出た“結婚した友達との関係”とか“シングルハラスメント”とか。「これぞ独女スタイル」と私が言っている部分です。
女性特有の悩みですよね。結婚している女性からみた独女像というのもあります。「贅沢しちゃって」「自分の時間があっていいな」と見られてイラっとされることがある、とか。
“独女の生態“に載っている記事は、アラサー独女から見て「いるいる、こんなやつ」と思えるし、それ以外の方からは「こんな風に考えているんだ」「こんな風に思ってるんだ」と思えるし、双方からみて楽しめる読み物だと思います。
-(女性向けサイトにありがちな)“キャリア・スキル”のカテゴリがありませんね。
カテゴリを絞るときに“キャリア”を考えたんですけど、結婚したいと思ったとき、今の時代はキャリアとの両立ってやっぱり難しい、社会的に何十年も先の話だな、と思いました。
なので、“キャリア”については『日経ウーマン』さんなどに任せよう、と考えました。「ウチはアラサーが結婚できるコラムサイトでいい!」と思い、そぎ落としてみました。
-将来的に増やしたいカテゴリはありますか?
サイトタイトルに東京という冠がついているので、“東京グルメ”“東京のイベントスポット”紹介などをやってほしい、という声もあります。将来的に載せてもいいんじゃないかな、とは思っています。