キレイな英語発音指南 瀬谷結子さん(前編)
美しい発音が身につく指導にこだわった世田谷の英語教室「The Bee’s Knees English School」代表:瀬谷結子(セヤ ユイコ)さんに「キレイな発音で英語を話す」というテーマでお話をきいてきました。
-「The Bee’s Knees」(はちのひざ)って、変わったスクール名ですね。
The Bee’s Kneesって語呂がいいし、カワイイな、と思っていました。“最高な”、“とびきりの”という意味もありつつ、“(そのひとにとって)おあつらえの”という意味もあるスラングです。「彼は私に“ぴったり”(=ベストパートナー)なのよ」というときに使うように、ひとりひとりに対してのbestを提供したい、という気持ちを込めています。
-そもそも、キレイな発音ってどういうものでしょう?
“ネイティブ並みの発音”という意味ではなくて、“通じる発音”という意味でキレイな発音と言っています。「日本人なのにキレイな発音ね」と言われるような発音です。決して「バイリンガルですよね?」とか「アメリカに何年いたんですか?」と言われるためではありません。
相手とコミュニケーションがとれる、(ネイティヴの)相手にストレスを与えない発音です。テニスに例えると、相手がボールを打ち返せる、ラリーが続くような感覚です。会話はコミュニケーションですから、続かないとストレスですよね。
そのために必要なのは“明瞭であること”です。会話相手のネイティヴの方が「その音は英語の○○という音だな」とわかる音を発する、ということです。
-英語学習において、発音にこだわるそのわけは?
日本人が英語を話す時に一番恐れているのは「文法が間違っているかも」ということより、実は(私の言っていることが)「通じないかも」「聞き返されちゃうかも」ということなんじゃないかと思っています。TOEICで高得点を取っていても「英語を話すのは自信がない」と言う方も少なくないです。
でも「発音が上手くできない」と思い込んでいるだけで、正しい英語の音の出し方を身につければ、その恐怖心もあっさり取れるし、ヒアリング能力もあがるので、英語上達の近道だと考えています。
つまり、正しい発音を身につけることで、英語を話す時の恐怖心を「さっさと取っちゃいましょう」ということです。それからゆっくり興味ある方面の勉強をしたり、思い切って海外語学留学してみるのもいいんじゃないかな、と思います。
難しい単語や構文を覚えようとするのと同じ時間があったら、先に発音を“体得”してしまえば、それは汎用性をもってずーっと使えるスキルなので、「先にそっちをやっちゃおうよ」「日本にいるままで、日本人による指導でも、英語の正しい発音は身につきますよ」ということを声を大にして言いたいです。
-瀬谷さんは、どうやってキレイな発音を身につけたんですか?
中学1年生のときに、発音を中心にして英語を徹底的にたたきこまれました。身内に教わったので、スパルタ教育でした(笑)。発音記号とセットで「口はこう開けなさい」「舌はこう使いなさい」と教えられました。
少人数でライブで教えてもらったというのが、一番よかったことです。トレーナーの口元を見て、その声を耳で聞くだけでなく、体に響く音や呼吸を感じながらのレッスンでした。一方通行ではなく、私が発した音に対して「今の音いいよ」と必ずフィードバックをもらっていました。
-どんなトレーニングをしていましたか?
英語学習自体が初めてでしたので、まずはアルファベットと発音記号を見ながら「A,B,C…」と発音することから始めました。次は単語を発音記号と照らし合わせて読み、その後は文章へと進みました。読む際には、最初はゆっくり丁寧に発音し、スラスラ暗唱できるまで音読を繰り返しました。
大人が再学習する場合も、発音記号の音を身につけた上で、音読、つまり自分の口から出すというのが、一番近道だと思います。
発音のトレーニングはスポーツと同じです。自己流でやると疲れてしまったり、身につけるまでに時間がかかったりしてしまいます。最初はトレーナーについてライブで教えてもらったほうがいいですね。あとは自習トレでいいと思います。そして時々「あれ?ちょっとおかしいな」と思ったら、またトレーナーに確認してもらうぐらいで大丈夫です。
みなさんが思っているより発音は“頭で考える”ことではなくて、“体を使ってやる”ものなんですよ。
-オススメのトレーニング方法はありますか?
まずは“ゆっくり丁寧に”発音することをお勧めします。とにかく音読をしてみてください。音声教材を使って学習する場合、聞き流しはしないでオーバーラッピング※してください。聞こえた音を必ず口から出してみましょう。
(※オーバーラッピング:英語のトレーニング法のひとつ。聞こえてきた英語と同じ音をほぼ同じタイミングで発声する。)
日ごろのトレーニング方法としては、目についた英単語をすべて正しい発音で読む、ということをしてみてください。街を歩けばアルファベットだらけなので、材料には事欠かないでしょう。
発音のコツとしては、「自分が外国人の顔(体)を持っている」つもりで話してください。鼻が高く、頬骨も高く、頭蓋骨の奥行きがあり、背筋が伸びている、そんな自分を想像してください。口の中をとにかく広く使いたいのです。当スクールのレッスンでは体の使い方からお教えします。