COMPANY Forum 2016(2016/09/28‐29)③
ワークスアプリケーションズ主催の『COMPANY Forum 2016 』に行ってきました。イベント概要は「COMPANY Forum 2016(2016/09/28‐29)①」の記事でご確認ください。
この記事ではスペシャルゲストのお二人目:ジョン・スカリー氏のセッションの様子をレポートします。
●Moonshot! ジョン・スカリー氏
講演タイトルの「Moonshot!(ムーンショット)」はスカリー氏の著書名。ムーンショットとは、シリコンバレーの用語で「それに続くすべてをリセットしてしまう、ごく少数の大きなイノベーション」のこと。
ペプシコーラCEOのときにスティーブ・ジョブズに引き抜かれたアップルコンピュータ元CEOの本、ということでベストセラーになり、日本でも今年の2月に発売。
ご本人はこの本のことを「自伝ではない。自分の学びをまとめたもの」と紹介していました。
スカリー氏によると、現代は【顧客主導】の時代。広告をほとんど打たずに“口コミ”で売る。必要なのは「ビジネスプラン」ではなく「顧客プラン」。
プランニングの際に必要な動作は“ズーミング”。近視眼的にならず、ズームアウトして全体を見る・ 他の業界も見る。その後“ズームイン”して単純化することが大事。
さらに【迅速さ】の時代でもあります。テクノロジーは急速に共有されてしまうので、必要なのは“業務の効率化”。それに寄与できるシステム:人工知能搭載エンタープライズシステム【HUE】のことを評価していました。
講演後は牧野氏からスカリー氏への質問セッション。
Q:ムーンショット(=イノベーション)を起こせる人材とは?
A:「適応型イノベーター」。環境の変化に適応できる人。
みんながジョブズにはなれなくても、新しいことに積極的に参加して協力すればよい。重要なのは「テクノロジーがすべて」と思わないこと。自分が持つ専門領域の知識が大事。複数の領域の専門性を持つこと。ドメインが重なったところにイノベーションが起こる。
Q:ジョブズは適応型イノベーターだったのか?
A:破壊的イノベーター。 「世界に足跡を残したい」「世界を変えたい」という思いを持つ「物理の法則にとらわれない浮遊したひと」「天才」。
Q:今のアップルは適応型イノベーターになっているか?
A:「ファーストじゃなくていいけど、ベストじゃなきゃいけない」という理念に今も基づいていると思う。
Q:日本にアップル、グーグルみたいなイノベーション企業がないのはなぜか?
A:ジョブズはソニーの森田氏を尊敬していた。日本には才能も人材もある。
文脈(時代)の問題ではないか、と思う。シリコンバレー(多様な文化が混ざっている)に比べて、日本は単一的な文化。イノベ―ティブに成功しているロールモデルが少ない。
Q:歴史のある会社がムーンショットを起こすには?
A:日本文化は単一だが、宗教はふたつある(神道‐現生主義 と 仏教‐来世主義)。この二つの世界に存在し適応することができればムーンショットを起こせる。バランスが大事。
Q:起業しようとしているひとたち、会社でイノベーションを起こそうとしている人へのメッセージをお願いします。
A: 企業が大きくなると、ミドルマネジメントが「NO」と言う権限を持ってしまう。既存の価値観を守ろうとすることが多くなる。
「NOと言うひとがいなければイノベーションは起こせる」
イノベーターに必要なものは「好奇心」「情熱・確信(他のひとを動かすだけの)」。日本は実行よりコンセンサスが大事なので、それをどう得るかが鍵。