第3回 ロボ デックス(2019/01/16-18)
東京ビッグサイトで開催された『第3回 ロボ デックス』に行ってきました。ロボット技術の開発・活用に携わる業界関係者のための商談展です。
ソルクシーズグループから【いまイルモ PaPeRo i】【株式会社エクスモーション】も出展していた『第1回 ロボ デックス 』開催からはや2年。3年目となる展示会では、どんな技術やソリューションに出会えるでしょうか?
そんな期待をもって回った会場で見つけた、今年の展示の傾向と【注目技術】についてレポートします!
●傾向1: 協働ロボット
産業分野向けロボットの展示では、“人と一緒に”働くものが多い印象でした。キーワードは「小型化」「器用」。
人間の腕や手を模して様々な作業をする「ロボットアーム」のデモをたくさん見ることができました。
こちらのロボットはレゴで動物や恐竜、乗り物などを製作中。設計図どおりに正しい色と形のブロックを選んで、組み立て中のブロックにスムーズにジョイントしていきます。
その様子をじーっと私が見ていたら、なんと作業を中断してあいさつするように手(?アーム)を振ってくれました。こういう小技に人間味を感じて好感が持てます。
働く大人たちが忘れかけてしまった“遊び心”や“余裕”というものを、こういうロボットと一緒に働くことで思い出せるんじゃないか、と思いました。
●注目技術: ハプティクス
ハプティクス(haptics)とは、触覚センサで得た力、振動、動きなどの情報を、別のデバイスに伝えて共有するテクノロジー。
「豊田合成株式会社」の展示ブースで、このハプティクスを体験させてもらいました。
説明員さんが持っている風船Aには水が入っています。私が持っている風船Bには水は入っていません。
イケメン説明員さんが風船Aを横に振ると、「!!!」。中で水が“ばしゃばしゃ”と動いているような振動が風船Bに伝わってきました。私の風船には水、入っていないのに。
さらにすごいのは、風船Aを縦に振ると、今度は「“縦に”水が動いている」ように感じられるところです。横と縦の動きの違いまできちんと再現されています。
風船デモを終えたあと、説明員さんは、ご自身の首筋に指先を当てました。すると、、、、私の手に「トク、トク」と脈拍が伝わってくるではないですか!思わず「気持ち悪ーい」(笑。誉め言葉です)と叫んでしまいました。
説明員さんの指先に装着したサックには「低周波振動センサ」、私の指先には、同社が開発した「e-Rubber」という“電気と力で機能する次世代ゴム”でできたサックをはめています。
このゴムが小さく伸縮してリアルに触っているような感覚が得られるのです。「e-Rubber」が薄くて柔らかく、低周波(振動数が小さい)も伝えることができるため、繊細な感覚まで再現可能なのだそう。
VRで「映像」と「音」はすでに“ここにないもの”を体験できるようになりました。次に来るのはバーチャルな「触覚」だと考えています。
この技術を使えば、離れたところにあるものの手触りを確認することも可能。通販をよく利用する私としては、服の色・デザインだけでなく、手触りや生地の厚さを確認してWebショッピングができると便利だなー、と思います。
この「e-Rubber」は通電によって動かすことができるので、“人工筋肉”モデルを作って手術訓練に利用したり、現在は電磁モータが主流のアクチュエータの次世代形:“ソフトアクチュエータ”としてロボットを動かしたりすることも期待できます。
「e-Rubber」がロボットの皮膚や筋肉に使われるようになると、繊細な感覚を持ち、スムーズに動けるだけでなく、自然な表情で語りかけてくれるロボットが生れそうです。
●傾向2: パワーアシスト
会場では、肉体労働作業の負担を軽減する「パワーアシストスーツ」の展示を多く見かけました。
「高齢化による力不足を補うのかなぁ」と眺めておりましたが、これまではスーツ自体の重さや装着の煩わしさから、なかなか浸透しないという問題点がありました。
そこで各社とも「軽量化」「小型化」をアピール。
腰への負荷を軽減するものが主流で、他には建設現場など「上向き作業」に特化したスーツもありました。
導入に関するもうひとつのネック「価格」はまだ高いようですので、月数万円からのレンタルで試してみる、というのも一つの方法ですね。
器用なロボットアームや、「e-Rubber」など次世代素材を使った“自然に近い”ロボットの開発が進みつつあります。しかし、現時点ではまだロボットは「人間のサポート」に留まっているように思えました。
ここに進化したAI技術が加わったとき、ロボットが「同僚」になる日がやってくる予感がします。
来年以降の「ロボ デックス」が楽しみです。