コンテンツ東京2019&第3回AI・人工知能EXPO(20190403-05)
●展示会概要
今年も行ってきました『コンテンツ東京』。コンテンツビジネスに関わる作り手と技術提供者のための商談展です(一般の方、18歳未満の方は入場できません)。
【過去展示会のレポート】
2016年 ・2017年 ・2018年
会場は東京ビッグサイト。
「コンテンツ東京2019」は、以下7展で構成されています。
・第9回 ライセンシングジャパン(キャラクター&ブランド ライセンス展)
・第8回 クリエイターEXPO
・第7回 映像・CG制作展 [新設]VTuberゾーン
・第7回 コンテンツ配信・管理 ソリューション展 [新設]ブロックチェーンゾーン
・第5回 コンテンツ マーケティングEXPO
・第5回 先端デジタルテクノロジー展 [特設]VR・AR・MRワールド
・第3回 グラフィックデザインEXPO
今年も[特設]VR・AR・MRワールドを中心にコンテンツをチェック。そしてVTuber(バーチャル・ユーチューバー)についてのセッションを聞いてきました。展示会場にも今年からVTuber ゾーンが[新設]されました。
●VR・AR・MR ワールド
マルチプレイヤー型VRシステム「オメガシップ」(株式会社ソリッドレイ研究所)
仲間たちと“同時に”VR空間を共有でき、仲間のアクション結果が自分のVR環境に反映されます。お互いの姿(アバター)を確認することもできます。
今までゲームやフィットネスなどエンタメ系で利用されるもの、というイメージが強かったVRですが、最近は現場環境をバーチャルに作り出し、作業者トレーニングを行うなど、ビジネスでの活用事例も増えています。
また、同じく技術の進展が著しいIoTやAIと組み合わせて、ウェアラブル端末が検知した情報や蓄積したナレッジから最適な動作手順が表示されるなど、誰でもベテラン並みの点検作業が行えるソリューションも登場。
参加者全員がヘッドマウントディスプレイを装着して仮想空間上に集まり、ホワイトボードの代わりに空間上に3Dペンでイメージを描き、やりとりはすべて記録されるので議事録の作成は必要なし、なんて会議だったらアイデアもどんどん沸いてきそう。
これらを実現するVR・AR・MRは総称してXRと呼ばれることもあります。
VR・AR・MRの違いについては、1年前の「コンテンツ東京2018」記事で説明していますので、合わせて読んでくださいね。
近年ではXR技術を駆使した「SR(代替現実)」システムなどというものも生まれており、映像・音声に加えて触覚のフィードバックも体験できます。これについては、1月に取材した「第3回 ロボデックス」記事で注目技術: ハプティクスを取り上げています。
●特別講演 「バーチャルYoutuberが切り開く、コンテンツビジネスの新たな可能性」
VTuber(バーチャルYoutuber)市場での成功事例をもつ4社による、バーチャルタレントの可能性についてのパネルディスカッション。
※パネリスト
・Activ8(株)代表取締役 大坂 武史 氏
・グリー(株)取締役上級執行役員/(株)Wright Flyer Live Entertainment 代表取締役社長 荒木 英士 氏
・サントリーコミュニケーションズ(株)宣伝部デジタルグループ燦鳥ノムプロジェクトリーダー 前田 真太郎 氏
・(株)360Channel代表取締役社長 中島 健登 氏
Activ8(株)から誕生した「キズナアイ」は最初、海外でブレイクしたそう。その後、VTuberとして定番の「ゲーム実況」や「やってみた」動画、「訪日親善大使」「CM出演」などで活躍の場を広げ、「音楽アーティスト」としてライブイベントまで開催するようになりました。
このように、バーチャルタレントというと、アニメ、ゲームからの連想で、「エンターテイメント分野でしか使えないのでは?」と考えがちですが、パネリストのおひとり、前田氏は、サントリーの公式VTuber「燦鳥ノム(サントリノム)」の大ヒットを顧客エンゲージメントにつなげました。
グリー(株)の荒木氏は「デジタル&オンラインのコミュニケーションが主流になり、すでにSNSごとに自分のID・アイコンを変えている。バーチャルコミュニケーションがもっと盛んになったら、人々は体(アバター)が必要になる」と述べ、デジタル上の人格であるVTuberの可能性を高く評価していました。
そるくんはまだテキストベースのおしゃべりしかできません。声が出るようになったらVtuberデビューしてみる?
(株)360Channel中島氏が進行するパネルディスカッションのまとめで出た
・日本人はキャラクターに命があることを受け入れやすい
・1社1HP(公式サイト)を持つのが当たり前になったように、1社1 Vtuberの時代が来るかも?!
という意見に「Vtuberありかも」と思いつつ
・流行りだすと競争激化し、ハイクオリティじゃないと成功しない
というコメントを聞くと「とりかかるなら今年中。来年になったらもう遅い」と思いました。
●第3回 AI・人口知能EXPO
同時開催の「第3回 AI・人口知能EXPO」も忘れずチェック!
シャトルバスで「青海展示棟」まで移動(実は、お隣の駅:東京テレポート駅もしくは青海駅のすぐそば)。
今年もこちらの会場内は大盛況。出展社数は「コンテンツ東京2019」の1/5以下ですが、来場者数は「コンテンツ東京2019」とほぼ同じです。
入場してすぐの目立つエリアに広いスペースをとって展示されていたAI開発プラットフォーム「ReNom(リノーム)」(株式会社グリッド)の展示ブース。
AI開発、というと「バリバリ理系の世界。データサイエンスとか数学とかがっちり勉強してないと、、、」と文系は尻込みしてしまう分野です。もちろんその分野の知識・経験があるに越したことはないのですが、プログラミング経験のない文系だってあきらめてはなりません(プログラミング的思考は必要)。
ReNomのような開発ツールの“使い方”に習熟すれば、AI開発分野で力を発揮する可能性は残っています。出展ブースのミニセミナーで講演されていた方にうかがったところ
「私も文系なんですが、ReNom ING(AIに学習させる画像認識モデルを作成するGUIツール)をばんばん使っています」ということでした。
ビジネス現場での予測・戦略構築やシステムでのAI活用は、今後“当たり前”になっていくと予想されます。自分がどのような形でAIと関わっていけるのかを知るためには、このような展示会で情報収集が欠かせないように思います。