コミュニケーションするロボットと支える技術セミナー(2016/02/26)その2
株式会社エーアイ 主催の「コミュニケーションするロボットと支える技術セミナー」に行ってきました。
「(主宰者)冒頭あいさつ」と「ゲスト講演1」についてはコチラ。
●ゲスト講演2:世界初の個性を学習するパートナーロボット『unibo』
ユニロボット株式会社 代表取締役 酒井拓 氏
ゲスト講演の二番手に登場したのは、ソーシャルをこよなく愛する酒井氏。
SNSでごみ拾いを呼びかけて実現したり、2010年には、世界最大人数の○人○脚の開催を呼びかけて見事「304人305脚」に成功したり。2011年には世界最大ペア数の○人○脚レース=504ペアでギネスブック記録を更新。
そんな酒井氏が創業したユニロボット株式会社で開発したuniboは、ロボットはロボットでも「ソーシャルロボット」。そのかわいいルックスと機能が2015年国際ロボット展で注目を浴びました。
酒井氏は『リアルなドラえもん』を作りたかったそう。ロボットが生活の中に溶け込み、スムーズに人間とコミュニケーションするためには「音声技術が重要」と考えているとのこと。音声技術は、ロボットが人間の話す声を理解する:音声認識 と、ロボット自身が声を発する:音声合成 に分かれます。
今回のセミナーを主宰した株式会社エーアイのAITalk®は、そのうちの「音声合成」部分を担当。機械音ではなく、より人間らしく自然な音声で自由に音声合成をすることが可能です。
ロボットが自然な会話ができるようになることで、 ロボットとのコミュニケーションが増え、より役立つロボットに進化していくことが期待されます。
●パートナーロボット『unibo』
uniboを「パートナーロボット」と呼んでいるのは、個人に特化したロボットであるから。
会場では、「uniboと暮らすある日の家族の一日」というプロモーションビデオが流されました。
お父さんの誕生日。uniboが持っている思い出データをもとに、誕生パーティーのメニューを提案し、レシピを表示して、買い物のサポートまでする。誕生会では写真まで撮ってくれて、、、こんなロボットと暮らしてみたくなりませんか?
●最後は北構氏・酒井氏とのQ&Aタイム
Q. uniboの開発環境は提供されるのか?
A. SDK※ を用意する予定。 「Choregraphe(コレグラフ)」※ のようなものを独自開発する。エンドユーザーも簡単に開発できる・子供も開発できる を目標にする。(酒井氏)
※SDK:Software Development Kit(ソフトウエア開発キット)の略。特定のコンピュータシステムに対応したソフトウエアを開発するために必要なプログラムや文書をまとめたもの。
※Choregraphe(コレグラフ):pepperのアプリ開発用のSDKの中核を担うソフトウエア。
Q. ロボット普及に一番大切なことは?
A. 値段だと思う。「ボーナスがでたら買おう」と思えるぐらいにならないと。(北構氏)
生活に密着したコンテンツ(例: ニュース・音楽・食事)を提供できること。「ロボットがいると生活が変わる」というような。(酒井氏)
Q. 家庭ロボットが飽きられずに使われるためのキラーアプリは?
A.
LINEが出た時、“今さら感”があって流行ると思っていなかったのに流行った、という経験をしてから、キラーアプリの予想はしていない。開発者(プログラマー)が増えること・開発の土壌整備が大事だと思っている。土壌ができればキラーアプリも生まれやすい。(北構氏)
飽きないコンテンツというのは、自分たちもテーマにしている。流行りのニュースが普通に会話できるロボットを作る、とか。その人の個性に合わせて生活に便利な情報を教えられるロボットを作る等。(酒井氏)
Q. ロボットの形にする必要がなぜあるか?スマホじゃダメなのか?
A.
ロボットの良さは体験してみないとわからないと思っている。犬を飼うとかと同じ。(北構氏)
コンピューターに音声で命令をするが、話しかけるには、身体性が必要だと思う。周りから見てヘンに見えたらダメ。ポケミというポケットサイズのロボットを作ったけど「ケータイ(スマホ)とどこが違うの?」と思われてダメだった。(酒井氏)
Q. (ロボット開発環境について)日本には共通のプラットフォームがあるか?
A. 日本電信電話株式会社(NTT)が研究・開発した「R-env:連舞™」というものがある。robot srart.infoに紹介記事がある。(北構氏)
Q. バイオテクノロジーとのコラボで人間化する予定はあるか?
A. 人間に近づけることは考えていない。本当に人間に必要な“もの”・そのシーンに必要な“もの” を提供しようと考えている。(酒井氏)
Q. 人と見分けのつかないアンドロイドと街ですれ違う、というようになるのはいつごろだと予想しているか?
A. 当社のロボットの定義は「開発環境があって、ネットにつながるもの」で形状にはこだわっていない。形状の方向性はふたつあると思う。「ボール的なもの」と「二足歩行するもの(アンドロイド系)」。後者は、道具を人間と共有できるというメリットはあるが、コストがかかるので普及には時間がかかるだろう。(北構氏)
最後の二つの質問は、編集長:れい がしたもの。現実的なロボット最前線にいらっしゃるお二人にはSF的な「アンドロイド」ストーリーは軽くいなされた印象を受けました。
映画やアニメで見るようなアンドロイドの普及にはまだまだ時間がかかりそうですが、uniboのような卓上型のロボットは意外に早く家庭に浸透するかもしれないな、とセミナー体験後に想像してみました。みなさんは私たちの未来をどう予想しますか?