COMPANY Forum 2016(2016/09/28‐29)②
ワークスアプリケーションズ主催の『COMPANY Forum 2016 』に行ってきました。イベント概要は「COMPANY Forum 2016(2016/09/28‐29)①」の記事でご確認ください。
この記事ではスペシャルゲストのお一人目:レイ・カーツワイル氏のセッションの様子をレポートします。
●人工知能と人類の未来 レイ・カーツワイル氏
発明家にして実業家。「シンギュラリティ※」という概念を提示し、人工知能の世界的権威でもあるレイ・カーツワイル氏。
※シンギュラリティ:「技術的特異点」と訳される、人工知能が人間の能力を超える境界点。
過去から今までのコンピュータのデータ量・処理量の莫大な成長をグラフで示し、すべてが”指数関数的”に成長・拡張していると解説します。
”指数関数的”とはどういうことか、というと、成長グラフが比例的な直線ではない、ということ。その結果、短期間で桁違いに大きな数字になる可能性がある、という考え方です。
苦手だった数学のことをちょっと思い出すと
・比例的:10 → 10の2倍 つまり 10が20になる
・指数関数的:10 → 10の2乗 つまり 10が100になる(3乗なら1000になる)
というかんじです。
そのムーブメントの中で私たちの脳も成長・拡張します。頭蓋骨の中に収まっているだけでなくクラウド上に存在していく「脳」。
「脳がクラウドに?なにそれ?」と思うかもしれませんが、Googleに膨大な検索履歴を残し、日々チャットやSNSに自分のライフログを残す私たちの脳の一部(いや大半?)はすでにクラウド上に存在するのかもしれません。
カーツワイル氏はこれを「第二の脳」と呼んでいました。
この新しい脳は、非生物学的です。だから「バックアップ」するなんてことも可能になるかも。これにより「脳の寿命が延びる」さらには「不死の時代が来るのでは?」という発言まで飛び出しました。
私は、これと似た世界観の小説(森博嗣氏のウォーカロンシリーズ※)を読んでいたので「そういう未来もありうるかもしれない」と思って聞いていました。
※ 2016年9月現在「彼女は一人で歩くのか?(Does She Walk Alone?)」「魔法の色を知っているか?(What Color is the Magic?)」「風は青海を渡るのか?(The Wind Across Qinghai Lake?)」が文庫として出版されています。
講演後は牧野氏からカーツワイル氏への質問セッション。
Q:シンギュラリティの時期は?早まっているのでは?
A:過去に予想した通りで早まってはいない。その時期は、2050年。そのエビデンス(=証拠)としては「AlphaGo(アルファ碁:コンピュータ囲碁プログラム)が人間に勝ったこと」「自動運転技術の進展」「画像認識機能の向上」があげられる。2030年には人間と競争し、取って代わる。さらに人間を賢くする。
Q:後塵を拝した感があるが、人工知能開発で日本が果たす役割は?
A: 人工知能開発は、ゼロサムではないので国は関係ない。(国籍に関係なく)“エンジニアはエンジニア”だと思う。日本は高学歴社会なので活躍できる可能性がある。
「飛躍的」な考え方ができる人を求めている。“Learning by doing”「やりながら学ぶ」のがよい。物事の成功・失敗ではなく、行うことの中で得たものが「学び」と定義している
Q:シンギュラリティを迎えたら、人間とコンピュータの関係はどうなるのか?
A:映画「ターミネイター」のように人間と機械が戦うかって?そうではありません。AI(人工知能)を持つことで人間がスマートになる(=できることが増える)。テクノロジーは人間を助けるもの。恐れるべきはテクノロジーを悪用する人。そうならないためには、モラルの醸成が必要。
今回はここまで。次回は、アップルコンピュータ元CEO:ジョン・スカリー氏のセッションについてレポートします。